鮮烈にして斬新な漫画、それが松浦だるま作「累(かさね)」です。
第19回のイブニング新人賞で「ゆうきまさみ大賞」「宇仁田ゆみ大賞」のW優秀賞を受賞し、連載が決定した漫画です。
この漫画、「美しさ」をテーマに描かれているんですが、そんじょそこらの同じテーマの漫画とは違う魅力に溢れているんです。
今回は
「累」のあらすじは?
主人公は淵累という1人の少女です。
彼女の運命は生まれた時からくるっていたのでした。
「伝説の女優」の名前をほしいままにした「淵透世」を母に持ってはいるものの、女優の娘とは思えないほど醜悪な容姿を持っているのでした。
累の容姿は本当に醜く、少女マンガの主人公にありがちな「ちょっとずつ可愛くなっていくじゃん」という事はあり得ません。
本当に「化け物」と同じレベルの容姿をしていて、この事が原因で小学校ではいじめにあっていたのです。
自分を守ってくれる存在はどこにもいない
小学校では演劇の発表会があり、ここで累はシンデレラに抜擢されます。
クラスのみんなからの推薦なのですが、これは陰湿ないじめなんですね。
発表会の練習では教室から締め出され、仲間に入れてもらえず、それでもがんばれば皆の仲間に入れると信じて1人で練習をします。
そんな辛い時、累は母の言葉を思い出します。
「口紅を使いなさい
使い方は教えたはず....
あとはあなたの欲しいものに...」
母のドレッサーの中から見つけた口紅をお守り代わりに発表会に参加します。
しかし、舞台の上で累は迫真の演技を見せ、お客さんからも反応が素晴らしいのです。
これを見て妬んだのがいつも累をいじめている西沢イチカです。
彼女は累がこれをきっかけに仕返ししてくるんじゃないか、と怯え、仲間と一緒に累を舞台から引きずり落とすのです。
それは「体調不良」という嘘を累につかせること。
結局自分の醜い容姿のせいで、努力しても報われないという絶望感を累は味わうのです。
イチカは累を保健室に連れていくという名目でまたもやいじめ始めます。
そんなイチカの顔をみて、累はイチカの顔が欲しいと渇望するのです。
「うらやましい・・・ほしい・・・その顔が欲しい」
そう思った累はイチカに母の口紅をつけた口で口づけするのです。
すると、自分とイチカの顔が入れ替わるのです。
ここで、累は母親の口紅の力に気付きます。
累はそのままイチカの顔のままシンデレラを続けます。
そこでは累の時には味わうことのなかった本当の賞賛を浴びるのです。
そして新たな絶望のなか、イチカの元に行きます。
するとそこには醜い自分の顔をしているイチカがいます。
誰にも見られないように・・・と学校の屋上に行く2人でしたがそこでちょっとした口論になります。
するとイチカが足を踏み外して学校の屋上から転落してしまうのです。
イチカが死んでしまうと同時に顔も元に戻ってしまった累。
しかしその心には
「醜い自分を捨て、美しい誰かになろう!」
と決意するのです。
口紅の力を使う勇気がなかった
その後も口紅を使えないまま、18歳を目前にした時に、母の協力者であり演出家の、羽生田釿互と出会います。
彼に導かれるまま、口紅を利用し、女優としての力を開花させていくのです。
羽生田釿互は、淵透世から娘を頼むと託された人物でもありました。
丹沢ニナという女優の卵と契約し、顔を借りることになります。
しかし、口紅の能力は万能ではありません。
一定時間を過ぎると、元の顔に戻ってしまうのです。
そのため、累はニナに定期的に口づけをする必要がありました。
演技の才能はもともとあったので、累の活躍は次第に広まり、徐々にオファーも増えていくのです。
しかし累が有名になればなるほど、自宅でこもっている丹沢ニナは精神的に追いこまれていきます。
累はある日、突然自分の目の前でニナが倒れてしまったので、慌てて羽生田釿互に連絡をします。
そこで聞かされたのはニナの病気のことでした。
もともとニナは「眠り姫病」という病気を患っていたのでした。
初めて聞く病気に累は戸惑います。
これは健康体ではあるものの、ある日突然眠りに何日間もついてしまうという病気でした。
ニナはこの病気がある限り自分は女優になれないと思っていたので、累を利用して顔を取り換えようとしたのでした。
累とニナはウィンウィンの関係だったんですね。
ニナの夢を聞いた累は、ニナが取り返したかったものを必ず取り返す!と決意し丹沢ニナとして女優の道を進み始めるのでした。
次第に精神を病んで行く丹沢ニナ
ニナの病気は眠りっぱなしということはありません。
何カ月か寝ては起き、また寝ては起きを繰り返します。
久しぶりに目を覚ましたニナが見た累は、ニナの顔をしているものの香水や服装も代わり自分ではない誰かになっていました。
舞台もいくつかこなし、女優としても大きくなっていく自分の顔をした累にニナは恐怖すら感じるのでした。
そこでニナは累に
「この関係を辞めたい」
と言いだすのです。
しかし累はニナにある留守電を聞かせます。
それはニナの母親からの電話でした。
女優になるという夢を持っていたニナを反対していたはずの母親が今ではニナのことを賞賛しています。
素晴らしい娘を持ったことを幸せに思っている!と告げます。
累はニナに
「あくまでも名声はあなたのもの、これでいいじゃないニナ」
と告げ、関係を続けていくのです。
その後も関係は続いたのですが、丹沢ニナが有名になればなるほどニナ本人はより頻繁に睡眠に落ちるようになりました。
そのため、停滞した日々を過ごしていきます。
ある日、ニナは行動を起こします。
累より先に目覚め、最後のリハーサルに行きます。
累も慌ててマネージャーという名目でニナのあとを追います。
するとそこには錯乱状態になっているニナがいるのでした。
「もう私は誰でもない!」
と叫び、屋上に駆け上がるのです。
手すりから身を投げようとしているところです。
「誰にも忘れられたくなかった。
私が眠っている間をあなたがつないでくれると思っていたのに。
すべてを奪われてしまった。」
だからといって元には戻れない、といいます。
それは累じゃなくなった丹沢ニナは、観客を絶望させすぐに誰からも忘れられてしまうといいます。
それは自分にはもう耐えられない、といい丹沢ニナを殺してしまうことを考えるのです。
身を投げた丹沢ニナを助けようとした累でしたが、結局は手を掴めず、そのままニナは落ちてしまいます。
二人三脚からのひずみ
死んでしまったと思われていたニナでしたが、奇跡的に命だけは取り留めたのです。
累の顔をしたニナを、累は引き取り、介護をします。
毎日、口づけを交わし、ニナの顔を手に入れるためです。
ニナを自宅に連れ帰っていた累でしたが、そんな累の元に新たなトラブルが舞い込みます。
それは丹沢ニナの両親です。
両親がニナのマンションにやってくるのです。
顔は一緒でも、長年一緒に生活していた両親を騙す勇気が累には必要でした。
しかしこれは皆の幸せのため!と自分に言い聞かせてニナの両親を欺くのです。
何とかその日は乗り切った累でしたが、ニナの母親はいいしれない違和感を感じています。
「自分の娘じゃないような気がする・・・」
という母親の勘から、月に一度は累の元を訪れ上がり込みます。
ついにある日、累に開けてはいけないと言われた部屋のドアを開けます。
するとそこにいたのは植物状態になっている元マネージャーでした。
顔は、累のものです。
累はニナの母親に植物状態になったマネージャーの世話をしていることを伝えます。
この日はこれで済んだものの、ニナの母親が怪しんでいると考えた累は釿互に連絡を取ります。
そこで釿互はこれ以上怪しまれるようなら考えがある、と告げます。
冷血とはこのことを言う!
そんなある日、徐々にニナの母親の疑惑は深くなり、遂に釿互が動きます。
作戦を聞いた累は戸惑いますが、自分が生きていくために、と告げられ欺くことを決意します。
その舞台は丹沢ニナの家です。
夕食に誘われた累は出かけます。
そこで、ニナとして振る舞うのですが、疑心暗鬼になっているニナの母親は、累が近づくだけでも恐怖します。
そこには
「ニナは他の誰かがなりすましているのかもしれない。」
という恐怖があるからです。
累がニナの母親の肩をポン、と触った瞬間、ニナの母親は包丁でニナを傷つけてしまいます。
そこにニナの父親が割って入ります。
ニナの父親は自分の妻が頭がおかしくなってしまったとしか考えられず、娘を傷つけた妻をどうすることもできません。
いくらニナの母親は累が自分の娘じゃない!と主張しても、父親は全く信じれません。
それは累が少し前にニナの父親にこんなことを吹き込んでいるからでした。
「身近な人物が瓜二つの別人にすり替わっているという妄想に取りつかれる病気があるの。」
と。
その病名は「カプグラ症候群」
娘が別人になり変っていると言えば言うほど、自分の夫にからめ捕られていく。
それが釿互の描いていたシナリオでした。
遂にこのシナリオが成功し、累は丹沢ニナの地位を不動のものにしていくのでした。
母親の呪縛
口紅を使っていくことに抵抗を感じている累ではありましたが、その奥には母、透世の呪縛が潜んでいることを感じます。
そんな中、累の前に1人の少女が現れます。
彼女の名前は野菊。
野菊はある思惑を抱いて累に近づいているのでした。
野菊は実の父親から毎晩性的暴行を受けていました。
それは野菊の顔が淵透世にそっくりだから。
そんな父親が「サロメ」という舞台に立つ累を見て夢中になっています。
その「美しさ」のせいで自分の母親は父親から愛されもせずに、死んでしまったと思っている野菊は父親を殺してしまうのです。
この父親、実は淵透世との間に子どもを設けていました。
それが「かさね」です。
野菊の母親は「いざな」という女に顔を乗っ取られたと恨み事ばかりを言っていました。
この事から野菊は「かさね」を憎むようになるのです。
徐々に近づく2人の姉妹
母親が違うといえども、累と野菊は姉妹です。
野菊は累に復讐を誓っています。
そこでまずは父親が取りつかれていた丹沢ニナについて調べ始めます。
なんとか仲良くなったものの、証拠を掴めないでいる野菊。
しかし丹沢ニナの母親と面会することで、その疑いを確信へと近づけていくのです。
そして自分が父親を殺した家に帰り、母親の日記を読みます。
するとそこには口紅の秘密が書かれているのでした。
更に証拠を!と目指す野菊は、累の隙をついてニナの部屋に忍び込みます。
植物状態になっているはずのニナでしたが、なんと指を動かせるまでに回復していたのです。
そんなニナとの会話をする野菊ですが、ニナからの言葉に愕然とします。
それは
「にせものはいらない」
という言葉。
これはニナが自分のことを偽物と言っているのでした。
更に母親を悲しませたくないから知らせないで、とも言います。
この言葉を聞いた野菊はそこから逃げ出してしまうんですね。
ついに物語は佳境へ・・・?
野菊は累の演技を見て、ようやくニナの言葉を理解します。
ニナ以上にニナの才能を開花させている累をみて、ニナは絶望しているのだと。
そこで野菊はニナのところに戻り、もう一度話をします。
「私が取り返してあげる」
と。
野菊が女優になって美しいまま人の心に残ってあげるというのです。
その途端、野菊はニナの顔にまくらを押し付けてしまうのでした。
その後、ニナは遂に息を引き取り、累は姿をくらますことになります。
一方の野菊はニナを殺してしまったことに罪悪感を感じて引きこもっているのです。
暫く、時が流れ、2人は海で再会を果たします。
それは野菊が仕組んだ罠でした。
醜いままの累は野菊と出会い、初対面のふりをして顔を取り換える提案をします。
これを利用するのは野菊でした。
野菊の顔を手に入れた累ではありましたが、新しい女優としてデビューします。
それは「咲朱(さき)」
過去を持たない謎に満ちあふれた女優として咲朱はすぐに話題の女優になるのです。
そんな咲朱に新たなオファーがやってきます。
いざなの鬼門の台本
新たなオファー、それは「マクベス」でした。
このマクベスは釿互に言わせると鬼門で、この舞台以降、順風満帆だった女優淵透世の人生が狂い出したと言います。
しかしそれもはねつけて「マクベス」をやるという累に釿互はかつてのいざなを思いだすのでした。
この「マクベス」を最終決着の舞台にしようと考えた野菊は、累の顔を元に戻す算段を始めるのです。
それは最終公演日に口紅に細工をして累の顔を元に戻すということでした。
釿互に疑われている不安を感じながらも野菊は自分の過去を赤裸々に告げ、信頼を勝ち取ります。
釿互も一応、信頼して納得したふりを見せます。
色々な思惑が上がる中、ついに最終公演の幕は上がるのでした。
現在、発売されているのはここまで。
しかし何とも気になる終わり方!!
釿互がこのまま黙ってるとは思えないけど・・・
顔が元に戻って累として受け入れてもらうのか?!
いやあ、絶望と希望を繰り返し読まされてまるで魔術の中に取り込まれちゃってるような気分です(^^;
早く、続きが読みたい!!!!
「累」の元ネタ?いえいえ、モチーフは「累が淵」
この「累」。
最初から他人の顔を取っちゃう!なんていうちょっとホラーなエピソードですよね。
それもそのはずこの「累」は怪談「累が淵」という話がモチーフになっているんです。
淵累という名前もこのままとったんでしょうね。
これは実話をモチーフにした怪談と言われていて、そのあらすじをざっと紹介しましょう。
ある村の夫婦の元に産まれた娘がいました。
名前を助(すけ)と言います。
しかし助は生まれながらにして顔が醜く、手足が悪いので夫婦は殺してしまうのです。
その後、夫婦に子どもが生まれます。
名前を「累(るい)」とつけます。
しかし累もまた助そっくりに産まれてきたので、村人は
「助のたたりだ!助がかさねて生まれてきたのだ!」
と、累のことを「かさね」と呼ぶようになりました。
両親が早くに死んでしまったので累は1人で働いていました。
そこに流れ者の男がやってきて婿入りします。
しかし累の醜い容姿を疎ましく思い、累を川に突き落として殺してしまうのです。
この事は村人も知っていましたが、累のことを疎ましく思っていたので、黙認してしまうのです。
その後、その男は6人の妻をめとりますが、次々に死んでいきます。
最後の妻との間にようやく子どもが生まれ、名前を「菊」とつけます。
しかしこの菊、累の霊に取りつかれてしまうのです。
累の霊をお祓いして貰ったのですが、今度はまた別の霊が菊に取りつきます。
それが助でした。
助は累が成仏するのを見て自分もと、菊に取りついたのでした。
というストーリーです。
助が「すけよ」で累が「かさね」ですよね。
そして野菊が「菊」ですね。
役者は揃ったので、どうやらそろそろ終わりが見えてきてるじゃありませんか??
松浦だるまのツイートが面白い?!
実はこの「累」。
連載が始まると、熱烈なファンから写真テロとも呼ばれるツイートで応援してもらっているようです。
というのも、タグとは全く関係のないツイートをファンがして混乱させているのだそうです。
正月に祖母に会いに行ったところ、「洗濯機買うんだって?」と言われ、なんで知ってるのかなと思ったらネルヤ編集部さんの洗濯機おめでとうタグについての記事で知ったみたいです
— 松浦 だるま (@darumaym) January 11, 2014
このように、洗濯機を買う、というツイートに対して
#松浦だるま先生洗濯機購入おめでとうございます pic.twitter.com/z2y3mPIHWQ
— alabasterkeg (@alabasterkeg) December 23, 2013
というツイートがかなりな数であるようです。
こんなツイートを受けて、累の編集部さんは面白い企画をぶちこんでいました。
それがハッシュタグをつかったキャンペーンで、感想をつぶやくだけでサイン入り色紙がプレゼントだそうです。
これに対しては松浦だるまさんが一番心配しています。
ちなみにハッシュタグを利用したキャンペーンと聞いた時点で悪寒が走った
— 松浦 だるま (@darumaym) January 21, 2014
確かに、今までの経歴を見るとちょっとアレですね。
そして最新刊9巻も発売日が決定だそうです!
どこよりも早く(当然ですが)、8月23日(火)発売の累第9巻の書影を公開します!!
まだ色味は調整入りますが、ほぼほぼ完成!! pic.twitter.com/35tXgfsnwP— 累-かさね- (@kasane_fuchi) July 27, 2016
早く読みたいですね!!
ちなみに、この「累」、スピンオフもあり、「いざな」というタイトルで、淵透世についての物語を書いています。
こちらは小説だそうですが、それでも面白いらしいですよ!
一緒にいかがでしょう?!
(P.N.オレンジ)
以上「漫画「累かさね」のあらすじと元ネタをネタバレ!おすすめの無料試し読み方法も」をお送りしました。
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