お世話になったあの人に~。
年末になると感謝の気持ちを込めて贈るお歳暮。
確かにお世話になった人や付き合いのある人には贈り続けるものです。
ですが、そんなにお付き合いをしなくなった人や、疎遠になってしまった人も中にはいるのではないでしょうか?
普段、お歳暮ぐらいでしか連絡しない、という人もいるでしょう。
このような場合、お歳暮をやめることできるのかな?と不安に思っていませんか?
確かにお歳暮をやめるのは勇気がいることです。
そこで今回は、お歳暮をやめたいと思ったらどうすれば良いのか?
やめる時の挨拶や手紙の書き方、やめるタイミングについてご紹介します。
そもそもなんでお歳暮を贈るの?
お歳暮はなんで贈るのか知っていますか?
お歳暮を贈る意味というのは
『今年一年ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。』
という気持ちを込めて贈るものです。
元々、「歳暮」というのは年末を表す言葉だったんだそうですよ。
俳句の世界では12月の季語として使われることもあるんだとか。
ちょっと余談になりますが、昔の人は年末になると『歳暮周り』という行事が行われていたんだとか。
これはお嫁に行った娘の実家や、分家の人が本家へお正月の「御霊祭」にお供え物を年末に手渡しで持って行くというものでした。
江戸時代になるとこの風習は武家を中心にひろまっていきます。
また商人の家でも掛け売りという文化が主流で、お歳暮の時に半年分まとめて払い、それと同時にお得意先にお礼と共に贈答品を持って行くとなりました。
明治になると次第に、上司やお世話になった人にも贈りものをするようになり、現代の風習に近づいて行ったんですね。
そしてこの時の贈答品を「お歳暮」と呼ぶようになったんですね。
お盆の時に贈る『お中元』という文化があります。
こちらもお世話になった人に贈るというところでは同じものですね。
お中元をやめる時にはどうしたら良いのか?というのはこちらの記事でご紹介しております。
あわせてご覧ください。
お歳暮をやめるタイミングはいつ?
お歳暮をやめたいなあと思っても、何をきっかけにやめれば良いのか分かりませんよね。
ですが、毎年贈ってるから・・・と義務や通過儀礼のようなものでお歳暮を贈るのはかえって失礼にあたります。
というのも、『虚礼』というのに当たるからです。
これは”見かけばかりで実質が伴わない礼儀・礼式”というものです。
ではそうならないためにも、お歳暮をやめるタイミングはいつ見極めれば良いのでしょうか?
お歳暮を辞める・・・でもその前に
お歳暮を辞めたいなあと考えているあなた。
お歳暮を辞めるにしても、とても大切なタイミングがあるのをご存知ですか?
というのも、お歳暮というのは始めてから最低でも3年は贈り続けるというものなのです。
結婚式で仲人をして貰った。
だから最初はお歳暮を贈ったけど次の時はもういいかな?と思って辞めるというのは大変失礼なことです。
普段から付き合いはないんだけど・・・という場合であっても3年は贈るようにしましょうね。
タイミング①『自分が高齢、相手が高齢になってきた場合』
会社や仕事関係の人にお歳暮を贈るという人は、退職を迎えた時にどうしようか、と迷うものです。
とっても仲の良い相手であれば苦にならないものも、かつての上司や部下となると「もう退職してんだけどなあ」と思っても仕方のないことですね。
自分ももちろんですが、相手が高齢になっている場合、お歳暮の用意をするだけでも負担になります。
自分から断るにしても断りやすい理由になりますね。
タイミング②「付き合いが疎遠になって3年経ったら」
付き合いが疎遠で、お歳暮ぐらいでしか付き合いがない、という人もいると思います。
相手との関係が疎遠になってしまっているのであればいつまでも贈り続ける必要はないのかもしれません。
相手も「もういいんだけどなあ」と思っているということもありますね。
そんな時は、日ごろからの付き合いがそんなになくなり、3年程度たったときにお歳暮をやめるタイミングと考えて良いのかもしれません。
タイミング③「相手からお断りの連絡が来た時」
お歳暮を贈っている相手から「お断り状」のようなものが送られてきた時は、一番のやめどきです。
「そうは言っても・・・。」と無理に食い下がる必要はありません。
『今後はお気遣いなく』と電話で言われた時も同じです。
この意味は『もうお歳暮は結構です。』という意味ですよ。
相手も伝えたことでそのつもりで過ごします。
贈り合わないと思っていたのに、何故かお歳暮が来た・・・となると相手も混乱してしまうことでしょう。
ありがたく受け入れましょう。
タイミング④「もういいんじゃない?と思ったら」
お歳暮というのは感謝の気持ちを贈るものです。
ですが、お歳暮を用意する時に「もうこの人に贈るのしんどいわ。」と思う人もいます。
始めてしまったお歳暮ってズルズルと続いてしまうものですよね。
だけど、年末というのは何かとイリヨウな季節。
このお金が浮けば・・・と考えてしまっても仕方のないことです。
というか、「もうこの人・・・」と考えている時点でそこまでお付き合いのしていない人であったり、お歳暮ぐらいでしか挨拶しないという人であったりします。
そろそろ・・・と思った時がやめどきなのかもしれません。
タイミング⑤「仲良しならいつでも」
とっても仲の良い友達にもお歳暮を贈る、という人もいますよね。
遠方に結婚や転勤で行ってしまって、お歳暮を贈ったついでに連絡を取り合っているという人もいると思います。
仲良しだからこそ「もうやめても良いかな?」と気軽に切りだすこともできますよね。
相手も、あなたからのお歳暮が絶対に欲しい!と思っている人は少ないと思います。
「もっと気軽にお付き合いを続けましょう。」
と電話でもLINEでも伝えやすいのではないでしょうか?
タイミング⑥「自分の環境が変わったら」
転職や引っ越し、結婚などなど。
自分の環境が変わるタイミングというものがあります。
職場関係の人だとしたら、自分が転職すれば新しい職場での人間関係が始まりますよね。
今度はそちらでもお歳暮のお付き合いが始まるかもしれません。
そうなるとこれまでお世話になってきた人へは区切りをつけて良い時期なのかもしれません。
また自分が遠方に引っ越してしまったりした場合。
今まで気軽に会えていた人ともなかなか会うことができなくなりますよね。
会う頻度が減っていくとなればお歳暮を辞めることを考える時期なのかもしれません。
お歳暮をやめるにはどうすれば良いの?
お歳暮をやめる方法、それは簡単です。
お歳暮を贈らなければ良いのです。
ではその方法をいくつかご紹介します。
方法①「お歳暮をやめるのは突然に」
お付き合いも疎遠になっているし、もう贈るのやめよう!と決めたらあとは簡単です。
お歳暮を選ばず、贈らないという方法です。
ピッタリと贈るのをやめ、後は相手から贈られて来ないことを祈ります。
もし、相手からお歳暮がきたら、お礼状と共に「もうやめようと思ってるんです。」とお伝えするようにしましょう。
方法②「最後のお歳暮、お断り状を添えて」
こちらはお歳暮をやめる!と決め「でも来年からね。」というパターンです。
突然やめる!というのは気が引けるという時にはこの方法がおすすめですね。
お歳暮を贈るところまでは例年通り、ちょっと違うのは『お断り状』を添えるということです。
お歳暮と一緒に届けて貰うようにしておけば良いですね。
方法③「お歳暮フェードアウト」
続いては少しずつ遠のいて行く作戦です。
お歳暮を贈るという人はお中元も贈っている人が多いですよね。
そこで、まずはお中元をやめる。
次の年はお歳暮の金額を下げる。
そして最後にお歳暮を贈らない、と段階を踏むパターンですね。
贈られてくるごとに相手も勘づいてくれると思いますが、個人的にはあまりおすすめしません。
この方法を使うと、お歳暮を贈っている間も両者ともあまり良い気持ちはしないですね。
方法④「暑中見舞いなどで先駆け宣言」
お歳暮の時期までやめます宣言をしてはいけない、という決まりはありません。
暑中見舞いや寒中見舞い、年賀状などで「次からは・・・」と伝えておく方法もあります。
そうすると相手も準備しなくて良くなりますので、負担も少ないですね。
方法⑤「年賀状や暑中見舞いに変える」
お歳暮などの品物を贈るのは辞めるけど、年に一回ぐらいの連絡はしたいという場合があります。
この時は、
- 年賀状
- 暑中見舞い
のような季節の挨拶状を送るようにしてみてはいかがでしょうか?
感謝の気持ちを違う形で表現するということで、スムーズに付き合いが続いて行くと思いますよ。
一括で辞める場合とそうでない場合
お歳暮を辞める!という時には「もう全部辞める!」と言う場合と、「いや、この人にはまだお付き合いがあるから・・・。」という場合がありますよね。
一括で辞めるという場合を除いた時に、辞める人と辞めない人の境界線はどこなのか?
ということで悩む人もたくさんいます。
こっちはするのに、こっちはなしというのは何とも・・・。と言った感じですね。
こういう場合はお歳暮を贈る相手をまずはリストアップしてみましょう。
そして、
- これからもお付き合いをしていく人
- 付き合いはあるけど年賀状などに変えていく人
- 付き合いが疎遠でもういいかな、と思っている人
に分けます。
リストアップすることで、誰にどうするのか?という対処法も管理しやすくなりますね。
お歳暮をやめる時に書く手紙はどうする?
お歳暮をやめたいんです、という手紙を書くのはどう書けばよいのか悩ましいものです。
そこでどうすれば「失礼」にあたらないのか。
書き方をご紹介します。
自分から断る場合
師走の候、〇〇様におかれましてはますますご健勝のことと思います。毎年、ささやかながらご挨拶をさせていただいておりましたが、
その度に、〇〇様から結構なお品をお送り下さることとなり、かえってご迷惑をおかけする状況に大変恐縮しております。つきましては誠に勝手な申し出ではありますが、例年のご挨拶を来年より失礼させていただきたくご連絡申し上げる次第です。
〇〇様も時節柄くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
末筆ではありますが、略儀ながら書中をもちまして、お礼、お詫び申し上げます。
敬具』
『〇〇様
寒さもひとしお身にしみるころ、皆様お変わりございませんか?
感謝の気持ちを込め、お歳暮の品をお贈りしましたので、ご笑納頂きましたら、幸いです。
このように、毎年ささやかながらご挨拶をさせていただいておりましたが、日本中が節約と倹約の昨今、お歳暮を今年よりご遠慮したいと考えております。
どうぞご協力くださいますようお願い致します。
まだまだ寒さが厳しくなりますが、くれぐれもご自愛ください。
良い新年をお迎えになりますよう、心から申し上げます。』
自分から断る場合(高齢の場合)
『〇〇様
師走を迎え、何かと気ぜわしい毎日ですが、皆様お変わりなくお過ごしのことと思います。
毎年ささやかながら季節のご挨拶をさせていただいておりましたが、その都度〇〇様より素敵なお品を頂戴し、
かえってお気を遣わせていたこと、大変恐縮しております。
私たちも喜寿をすぎ、誠に勝手ながら例年のご挨拶を失礼させていただきたく存じます。
不躾な申し出、どうかお許しくださいませ。
〇〇様とのご縁はこれからも大切にさせていただきたいと思っております。
引き続き、よろしくお付き合いのほど、お願い申しあげます。
まだまだ厳しい寒さが続きます。
ご自愛のほど、心よりお祈りいたしております。』
『拝啓
師走の候、皆様ご健勝のこととお喜び申し上げます。
常々、過分なるご高配を賜り、ありがとうございました。
父も母も穏やかに過ごしておりますが、傘寿を迎え、誠に勝手ながら例年の挨拶を失礼させていただきたく存じます。
不躾な申し出、どうかお許しくださいませ。
寒くなる折、ご自愛のほど心よりお祈りいたしております。
敬具』
自分ではなく、自分の両親が高齢の場合もありますよね。
お歳暮を贈ってないのに貰ってしまった場合
『拝啓
師走の候、〇〇様におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び致します。
いつも格別のご厚誼を賜り深く感謝申し上げます。
さて、このたびはお歳暮の品をお贈りいただき、誠にありがとうございます。
日ごろ、私どものほうこそ御無沙汰ばかりで、お世話になっておりますのに過分なお心遣いをいただき、恐縮に存じます。
御厚意は大変ありがたく存じますが、どうか今後はこのようなお心遣いはご不要ですので、その旨宜しくお願い致します。
〇〇様も時節柄くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げております。
末筆ではありますが、略儀ながら書中をもちまして、お礼、お詫び申し上げます。
敬具』
ビジネスの場合
『深冷の候、皆様ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、このたびはお心づくしのお歳暮の品をお贈りいただき、ありがとうございました。
日ごろ主人に何かとご協力いただき、ご面倒をおかけしておりますのにこのような心配りを賜りまして申しわけなく存じております。
お気持ちはありがたく頂戴いたしますが、どうか今後はこのようなお気遣いをなさらないでください。
主人からもきつく言われておりますので、ご了承のほどお願い申し上げます。
まずは取り急ぎお礼とお願いを申しあげます。
かしこ
12月〇日
ご主人の名前 内』
「かしこ」というのは女性が結語として使う言葉です。
名前の後ろに「内」とつけるのは、妻が代筆したことを表す言葉でもあります。
ビジネスの場合(品物を返送する場合)
『師走の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
このたびは、お歳暮の品をお送り下さいまして、ありがとうございます。
ご好意を頂きながら心苦しいのですが、弊社ではお取引様からのご贈答は辞退させていただいております。
なにとぞご理解のほどよろしくお願い致します。
贈り頂きました品はお気持ちだけ頂戴いたしまして、はなはだ失礼とは存じますが、別便にてご返送させていただきました。
誠に勝手なことではありますが、どうかお気を悪くされませんように。
まずはお礼方々、お詫び申し上げます。』
近年では、会社自体がお歳暮やお中元を中止しているところもあります。
ですがそれでもお中元やお歳暮が届くということもありますよね。
その時には1つだけ受け取ってしまうというのが良くないので、返送する場合もあります。
必ずお詫び状を添えて返送しましょう。
ビジネスの場合(返送しない場合)
『師走の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
このたびは、お歳暮の品をお送り下さいまして、ありがとうございます。
ご好意を頂きながら心苦しいのですが、弊社ではお取引様からのご贈答は辞退させていただいております。
しかしながら、この度はありがたく頂戴いたします。
今後は季節のお心遣いなどなさいませんようお願い申し上げます。
お気持ちのみありがたく頂戴いたします。
何卒ご理解のほど宜しくお願いします。
略儀ながら書面にてお礼とお願いを申しあげます。』
受け取らない、とすると「角」が立ちそうな場合には今回だけ・・・と受け取る場合もあります。
しかしこれが来年も続くようであれば、一度きっぱりと断ることも必要になってきますね。
お歳暮をやめたらデメリットはある?
お歳暮をやめるというのは、デメリットもあります。
それは
- 相手に喜んでもらえない
- お世話になった人へ感謝を伝える機会がなくなる
- 普段会えない方への挨拶する機会がなくなる
といったところですね。
しかし、よく考えてみると、連絡する方法というのは何もお歳暮だけではありません。
日本には年賀状も暑中見舞いも、寒中見舞いという方法もあります。
相手にとって自分がお歳暮を贈るということがどういう意味を持つのか?
かえって負担に思っているのではないか?
ただ義務感に駆られているだけではないのか?
ともう一度確認してお歳暮を贈るようにしたいですね。
以上「お歳暮もうやめたい…!やめるタイミングはいつ?やめる手紙の挨拶の書き方や例文も」をお送りしました。