田村由美さんの漫画、と言えば「BASARA」を一番に思い浮かべていました。
でも、そんな「BASARA」の印象とは全く違う作品です。
何と言うか、失礼ながら田村由美さんと言えば「サバイバル漫画、しかも絵が綺麗」というイメージでしかなかったんですよね。
なんだけど、この「ミステリと言う勿れ」ですよ。
奥が深いし、ミステリーがガッツリかと言うと謎解きもそこまで難しくない。
密室トリックとかは出てきていません、今のところ。
この漫画の魅力は一体何なんだ?!ということで、今回は読後すぐの私が「ミステリと言う勿れ」のあらすじをご紹介したいと思います。
漫画「ミステリと言う勿れ」のあらすじ
2020年9月現在、7巻まで発刊されています。
この物語、前々から気になってたんですがなかなか機会がなく、今回ようやく読むことができました。
読後の感想は、「いや、本当に面白い。早く続きが読みたい!!」というもの。
この一言に尽きますね。
でも、面白い漫画というのはスピードとは反比例するものが多いのです。
それはきっと作者さんがすごく丁寧に作品を作っているからなんですよね。
もちろんスピード感があってぐいぐい引き込まれるものもあります。
少年漫画に多いと思うんですけどね。
しかしこの「ミステリと言う勿れ」は早く読みたいんだけど、じっくり腰を落ち着けて読みたい!そんな漫画でもありました。
それぞれ、エピソードに合わせてあらすじをご紹介したいと思います。
ネタバレしてますので、嫌な方はサラーっと読み流してくださいね。
エピソード1「容疑者は1人だけ」
この作品、本当は連載するかどうか作者の田村由美さんが迷っていたようです。
当時は「7SEED」という別の作品を連載していて、それと並行してこのエピソードが長尺の読み切り作品として掲載されたんです。
主人公は「久能整(くのう ととのう)」。
パンチのある見た目(アフロ)とは裏腹に、すごく冷静沈着な大学生です。
冒頭は「冬はつとめて・・・」という有名な言葉で始まります。
カレーが大好きなようで、リメイクカレーを作ろうとしていたら警察官が訪ねてくるのです。
話を聞くと、近くの公園で同級生の寒河江健が刺されて殺されたらしい、とのこと。
重要参考人として警察署まで来て欲しいと言われるのです。
任意同行に応じ、取り調べを受けるんですが、刑事たちは「お前がやったんだろ?!」と高圧的に久能を追い詰めようとします。
しかし、久能はとっても冷静に犯行を否定するのです。
更に、その取り調べを行っている刑事たちを観察し、1人1人に適切なアドバイスやこんなことありますよ、という雑学を話し始めます。
私がここで一番好きなのは反抗期に悩む「乙部巡査」への言葉ですね。
「臭い!」と嫌がられるのは「正しく育てたという証拠だ」という言葉が素敵だなあと感じました。
こんな風に警察署の中の人たちを観察しながら自分の持ってる雑学などを伝えていくんですよね。
結局、寒河江健を殺した犯人に辿りつくんですが、この犯人だけはネタバレしないでおきますね。
でも、最後の最後、寒河江にも殺される理由があったんだと言いますが、この漫画すごいな、と感じたのはその寒河江にも裏の事情があったと言うことです。
他の物語とかでは、被害者の寒河江がろくでもないやつ、で殺されるべき理由があったんだ、として終わります。
でも久能・・・というか作者の田村由美さんは「片方の面しか見ていないのかもしれない。その人が本当はどんな人だったのか、というのはその人にしか分からないんだよ。」と伝えているような気がしました。
エピソード2「会話する犯人・犯人が多すぎる」
その後、平凡な日々を過ごしていた久能。
今回の冒頭は「秋は夕暮れ」から始まります。
2巻と言うか、1巻の途中から始まるんですよね。
今回もカレーを作ろうとしているんですが、またもや邪魔が入り食べれません。
更に、印象派の美術展を見ようと出掛け、そこで乗ったバスでバスジャックにあってしまうのです。
バスジャックの犯人は「トモヤ」と名乗る人物。
しかしこの犯人は、交渉する気配も何もなく更には人質に話し合うようにと言います。
普通なら、「静かにしてろ!」とかいうのが定番(?)なのに。
久能は自分と同年代っぽい「翔」という人物と話すようになります。
翔の方も久能に興味を持って来たようで、久能の話に「おもしろいね」と相槌を打ったりもします。
トモヤは乗客に対して「何故人を殺してはいけないのか。」と質問します。
この質問に久能は「それは秩序を守ろうとするからだ。」と答えます。
あまりにもこの久能の答えが理路整然としていて、読みながら「なるほどなあ~」と唸ったほどです。
たとえ話もすごく分かりやすかったですしね。
ここで論破されちゃったモトヤは逆上します。
そんなモトヤをはがいじめにする人物、それは乗客の中の1人「坂本正雄」でした。
体格の良い彼に押さえこまれ、解決かなあ、と思ったら、モトヤは彼に向って「アニキ」と言うのです。
そう、犯人は2人いたのです。
しかも2人は兄弟のようです。
更に、ガロと名乗った坂本正雄は乗客に更に質問します。
「一番嫌だと思う死に方を教えてほしい。」
と。
この質問に翔は
「生き埋めはイヤだ」
と答えます。
そんな時、バスは山奥の豪邸に到着します。
ここは2人の家だそうで、中に入るように促されるのでした。
大広間に入ると食べ物がたくさんあり、1人の女性の人物画が大きく飾られていました。
それを見て久能以外は青ざめるのです。
夜、就寝時間だ、と兄弟2人は出ていきます。
その時、鍵をかけていないことに気付いた久能はこっそり警察に電話します。
その頃、警察では連続生き埋め事件の捜査をしていました。
これまでに4人の遺体が見つかっています。
その4人の共通点は同じ路線のバスに乗っているということ。
そして最初の被害者はあの人物画の「犬童愛珠」だということを知るのです。
警察が暫くしてやってきますが、犯人たちは慌てもしません。
2人を連行しようとしますが、それを久能は止めます。
本当のガロは「翔」だ、と言うのです。
そう、犯人は2人組ではなく3人組だったんです。
この時の突き止め方もしっかりと見ていないと気付かないようなことでした。
強い絆で結ばれている3人だからこその隙間だと思います。
そして何故こんなことをしたのかと言うと、ガロの姉、愛珠を殺した人物を特定しようとしていたためでした。
愛珠はバスにのって行方不明になり殺されています。
なので、あの日、このバスにのった乗客たちを集め、見極めていたのです。
そこで犯人を特定するんですね。
しかしこの話での伏線は本当に多くて。
見事回収されていますよね。
例えば、久能が最初にバスに乗った時に、久能の顔を凝視する人物が4人います。
ガロ(翔)・坂本正雄・モトヤ・犯人。といった4人ですね。
予定外の人物が乗るんですから驚きます。
細かいけど、すごいです。
今回の犯人(生き埋め犯)の方はサイコパスな感じがしたのもぞっとしましたね(^^;
●エピソード3「つかの間のトレイン」
バスジャック事件が終わって、印象派の美術展にも行けなかった久能。
ガロが「印象派の美術展は東京の次は広島だよ」と教えてくれたこともあって広島に行きます。
出発する少し前に「犬童ガロ」あての小包を受け取っています。
中には人の手が手首から切り落とされた形で入っていたのです。
警察に届けると、この手は生き埋め犯のものだろう・・・と青砥刑事に教えてもらいます。
そんなこともあって広島遠征を決意するのでした。
新幹線で東京から広島まで移動します。
この時、偶然隣に座った女性が手紙を読み始めるんですね。
何の気なしに見ていた久能は面白い手紙に興味を持ちます。
手紙の話についてはこちらで詳しくじっくりご紹介しております。
良ければどうぞ。
●エピソード4「狩集家遺産相続問題」
広島についた久能はたっぷり美術展を楽しみます。
ついでに、ということで観光もしますが、その道中、1人の女の子が自分をつけていることに気付くのです。
その子は狩集汐路という女子高校生。
彼女のおじいさんの遺言書が公開されるというのです。
その席に同席して欲しいと頼まれます。
何でも、ガロからの推薦とのことでした。
ガロの名前を聴いて興味がわいた久能は潮路についていくことにします。
遺言書の公開には他のいとこ
・狩集理紀之助
・波々壁新音
・赤峰ゆら
の3人も同席していました。
遺言書の内容は財産を貰いたければ、それぞれに蔵のカギをあげるからその中のものを過不足ないようにしなさい、ということでした。
それを達成すれば当主になれるというものでした。
しかし、汐路に話を聞くと、この財産相続では必ず死人が出る、と言います。
財産相続のせいで自分たちの親(汐路は父親)は死んでしまったというのです。
つまり、狩集家の血筋の子どもたちですね。
汐路のおじいちゃんからすれば4人いた自分の実子です。
その話を聴きながら久能は汐路と一緒に相続争い(?)に巻き込まれていくのです。
汐路は頭上から花瓶が落ちてきたり、家の中の階段に油が塗られていたり・・・と殺し合いは始まっている!というのです。
でもこれは汐路が自分で仕掛けたことなのでした。
というのも、親世代の4人が死んだのは汐路の父親が運転する車が交通事故に遭ってしまったからです。
自分の父親が事故を起こして死なせてしまったということを受け止めきれない汐路は遺産相続の争いに巻き込まれて人が死ぬ、ということにしたかったのです。
しかしいとこ達は財産を全部自分のものにしようと思ったりしていることは全くありません。
そこで4人で協力して狩集家の謎を解いていくのです。
そもそも、親世代の4人は一体何をしていて事故に遭ったのか。
それが一番の謎です。
汐路が譲り受けた蔵の中にあったもの、それは日本人形です。
この日本人形には見覚えがあり、自分の父親が「持ち主に返さないとね。」と言っていたことを思い出します。
しかも、事故の少し前に。
この事を思い出し、久能は蔵の下に埋められていた無数の人骨、「鬼の集い」という劇の脚本家の自殺、本当の狩集家の子孫など、謎を1つずつ解いていくのです。
ですが、この推理はまるで誰かに操られているようだとも感じます。
その人物こそが汐路の父親たちを殺した犯人でもあったのです。
この話は本当に猟奇的だと思いました。
他のミステリー小説にも出てきそうな設定、そして時代錯誤のしきたり。
そんなものがふんだんにあります。
最後の犯人も、前回の生き埋め犯と少しだけ印象が被るというか。
人を殺すことに何の疑問も持っていない。
悩んで悩んでついにやってしまった、という事件じゃないのが怖いなあと思いましたね。
●エピソード4「雨は俎上に降る」
ある日、ポテトサラダを買いに行こうと出掛けると公園でずぶ濡れになって「山賊の歌」を歌っている男を見つけます。
話を聴いていると、男は「自分が何でここにいるのか、家がどこなのかも分からない。」と言うのです。
病院や警察に連絡を!という久能に「どっちも辞めてくれ」というのです。
話していたら何か思い出せるかもしれない、という男に久能はいつものように話をたくさんします。
だんだんと思い出してくる男性、全ての話が何故か爆弾というワードに結びつきます。
そして「爆弾を仕掛けたのかもしれない。」というのです。
この事に久能はどこに仕掛けたのか聞き出そうとします。
そのきっかけは男性が自分の指につけている星座のマークのついた指輪でした。
「どこに?!」と聞く久能に男性は急にはぐらかします。
その様子を見て久能は男性が記憶を取り戻したことに気付くのです。
更に、男性は自分の座っている机の上に「△」を描きます。
それを見て久能は爆弾の場所が分かったというのです。
急いで坂本刑事に電話をしてそれを知らせます。
久能は男性がこれまで話したことから爆弾の場所を突き止めていたのでした。
公園にほどなくして到着した警察に男性は連れて行かれます。
見送った後、近くからスマホの音がして久能は拾おうとして、土手から転がって落ちてしまうのでした。
●エピソード5「ばちあたりの夜話」
大丈夫!という久能を押し切って病院に検査入院を坂本はさせます。
その入院先に、狩集汐路からお見舞いの品が届くのでした。
プリザーブドフラワーに驚いていると、そこから指輪が出てきます。
更に、それは汐路からではなく、ガロから贈られたものでした。
何の意味があるのか、と頭を悩ませいていた久能の隣にいないと思っていた入院患者がいます。
名前は「牛田」。
元刑事で退職したのだと言います。
牛田はこれまでの事件の捜査と結果を久能にクイズ形式で出題していきます。
1問2問を簡単に当てた久能に牛田は3問目は難しいぞ、といいます。
それは羽喰玄斗という連続切り裂き魔を逮捕した時の話でした。
毎日、羽喰を相棒と一緒に追いかけていた牛田は、最後の被害者の所に駆けつける時に30分遅れてしまったと言います。
それは自分の家に強盗が入っていたから。
報告などをしていて遅れてしまったのだと言います。
駆けつけた時には女性は刺されて死んでしまっていたのです。
相棒は重症で、左手が動かず、退院した後刑事も辞めたと言います。
その事件以来、羽喰は姿をくらませたと言うのです。
聴き終えた久能は、最後の犯人は相棒だと僕に言わせたいんですか?と牛田に聞きます。
牛田もその事には気付いていたようで、証拠品のボールペンとその時の手帳を墓まで持って行こうかどうしようか悩んでいる、と言うのです。
ですが、久能の話を聞いてどっちにするか決めたというのです。
翌朝、隣のベッドには牛田はいませんでした。
看護士さんに聞くと、牛田さんは昨日の朝、お亡くなりになったんですよ。と。
そんな時、牛田の相棒だった霧島が見舞いに来るのです。
霧島と話をして久能は牛田がどんな判断をしたのか推測するのでした。
●エピソード6「暖かいのか温かいのか」
検査が終わった久能は退院を翌日に控えていました。
そんな時、掲示板などに貼られた手書きのポスターに目をとめます。
そこには誤字があり「暖かい」「質外機」「PM賛辞から」「紹かれざる」「対機」。
これらの誤字を全て繋げると「温室 三時 招待」となるのです。
指輪からガロのことがちらついていた久能は温室に行ってみます。
するとその床には奇妙な数字の羅列があったのです。
すぐに追い出された久能は数字の羅列だけ写真に撮り、病室に帰ります。
そこで牛田が別れる前に渡してきた「自省録」を読むことにします。
牛田の「版が違うと使えないこともある」という言葉を思い出した久能は数字の羅列をページや行数、文字の番号などに充てはめます。
すると違う言葉が浮かび上がってくるのです。
その暗号の通りに行くと、鉢植えの中にバッグが!!
このバッグには事情があるようで、温室の管理人が青ざめた顔でやってくるのでした。
1つの事件が解決していると、温室にはとても綺麗な直毛の女性がいます。
彼女はまた数字の羅列を久能に伝えると、姿を消すのです。
全ての暗号は彼女によって書かれていたんですね。
●エピソード7「天使の放火事件」
温室に表れた女性が去り際に残したメッセージ。
それは「明日3時にこの場所で」というものでした。
予定の時間にいっても女性は現れません。
しかし、桜の樹に封筒が刺されていました。
その封筒には「中を見よ」という文字。
開けてみるとそこには住所が書かれた写真が入っていたのです。
とりあえずそこにいくと、その家は家事になっていました。
どうやら小学生の子どもだけが生き残り、両親は死んでしまったそうです。
そして家の堀にはある落書きがされています。
そのマークはもう一つの家の方にもあるのです。
不思議に思っているとそこに、彼女が現れます。
彼女は名前を「ライカ」と言い、あの病院に入院しているとも言います。
そしてこのマークのような落書きが病院にもあると言うのです。
何が何だか分からないままでいる久能の元に温室の管理人、真波がやってきます。
温室に足湯を作ったから来て欲しいと言うのです。
行ってみると、そこには先客がいました。
その男は、病院の食堂にいる時に、久能にぶつかり、土下座を共用してきた男でした。
久能が足湯につかっていると、真波がポインセチア(?)を持ってきます。
それを見た男は急に胸を掴み、傷みだすのです。
何でも男は「赤いものをみると全身が傷みだす」と言うのです。
暫くして痛みが引いた男は病院を後にします。
その時、男に声を掛ける男がいました。
彼はネコを連れていて、天使のような姿をしています。
男が久能のことを言うと、「面倒なら一緒に燃やしちゃえばいいよ。」というのです。
久能はとりあえず刑事にあのマークの事を伝えます。
すると、裏サイトがあるようで、これと同じマークをかけば天使がやってきて毒親を焼き殺してくれるというものでした。
助かった子どもは、警察が聞いても何も答えません。
しかし虐待のあとだけはあるのです。
そして警察サイドでもこの放火事件で容疑者として浮かび上がっている人物がいると言います。
それは井原香音人。
その姿は温室の男に話しかけていた天使の彼にそっくりなんです。
次の日、久能が病院にいると、男が話がある、と声をかけてきます。
男は自分の名前は「陸(ろく)」という文字が入っている、と言います。
それを聞いた久能は「それでピアスに6」がついてるんですね。
というのです。
ピアスは2つあり、6と9が刻まれている真珠のものでした。
久能と話をすることで、陸は久能が自分の事に気付いている、と確信するのです。
その夜、陸は香音人と話をします。
以前から病院にマークを描いていた女の子をそろそろ助けてあげよう、というのです。
そのついでに久能も片付けてしまう、というのでした。
次の日、ライカとの約束でクリスマスのプレゼント交換をすることになっていた久能は再び病院にいます。
プレゼント交換をして、たたずんでいる久能に陸が「今夜、クリスマスの行事をするから久能にも手伝って欲しい」と持ちかけます。
了承した久能は一旦、家に帰り準備をして約束の時間に再び病院に行くのでした。
そこで久能は陸に会うのですが、陸は久能に袋をかぶせて病院の倉庫に押し込みます。
そこには、病院の壁にマークを描いていた女の子の両親が縛られていたのです。
ここで両親を殺すから一緒に燃やされてくれという陸。
久能は渾身の力で抵抗します。
この時、スマホにつけていたオーナメント(赤色)が陸の目に入り、ひるむのです。
このオーナメント、ライカとのプレゼント交換で貰ったものでした。
更に久能はトマト缶を手に、陸を追い詰めていきます。
陸は香音人のことを話し、天使は自分じゃなくて先輩だ!と言います。
そこで久能はその先輩に会わせて欲しいと言うのです。
陸は観念し、久能を香音人の部屋に連れて行きます。
2人の部屋に入った久能。
そこで久能はどういった経緯でこんなことをしているのかを聞くのです。
この時、久能は電話を坂本刑事にかけていて、会話の内容は全て聞かせていたのです。
しかし、坂本刑事は会話が変だ、と青砥刑事に告げるのです。
そこには陸の様々な苦悩やゆがんだ思いがちりばめられているのでした。
本当にこの話は辛い。
辛いんだけど、最後の最後、「やられた!!」と感じる話でした。
是非、ご自分で確かめて下さい。
●エピソード8「デートならぬ遠出」
徐々に親交を深めていたライカと何故か初詣に行くことになる久能。
デートかも?!とドキドキしながら新年を迎えます。
しかし、その帰り道に、ライカから「焼き肉を食べよう」という提案をされます。
焼き肉店に入ると、そこの店員の様子がおかしいことに気付きます。
2人は数字で会話しながら、何がこの店に起きているのか推理していきます。
このエピソードはとっても短いんですよね。
でも、久能くんのたこ焼き食べてて「カップルだと思われてる!!」とか言っちゃうとことか。
ライカに焼き肉食べて帰ろう、という発言に「世間だと焼き肉を一緒に食べるということは!!」とか言っちゃうとことか。
かわいらしい・・・というか、普通の大学生らしい一面が見れてとても良かったなあと思いましたよ。
●エピソード9「横浜連続殺人事件」
さて次は!と読んでて頭がこんがらがったエピソードです。
今回は久能は出てきません。
始まりは横浜でした。
女の子が通り魔に刺されるという事件が頻発していたんですね。
女の子は交差点の真ん中にはりつけのような形で放置されていたのです。
凶器のナイフからは22年前についた血液が採取されます。
それは羽喰玄斗の被害者。辻十岐子のものだったんです。
この事から、所轄では22年前の羽喰玄斗が再び活動を始めた?!という話になります。
どうやら港中央署(所轄)では羽喰玄斗のことを把握していなかったようですね。
ですが、ここにいる備前島刑事は羽喰玄斗の犯行とは全く違う、と断言するのです。
備前島刑事の部下、猫田は情報収集のために近くに住んでいるホームレスたちに聞き込みを始めます。
その時、猫田は見なれない1人のホームレスを見つけます。
男は「猫」と名乗り、手袋をしていました。
怪しみながらも別の場所に移動していく猫田。
そんな時、猫は連絡をうけホームレスたちに挨拶をして去っていくのです。
ホテルに入りシャワーを浴び、綺麗になって出てきたのは犬童ガロでした。
そう!
今回の主人公はガロです。
ガロはバスジャック事件のあと、海外に逃亡していました。
しかし、ある情報を貰って帰国していたのです。
それは姉、愛珠が遺書のようなハガキを書いているというものです。
そのハガキは未来の自分や死んだ人へのハガキを贈ることができる「漂流郵便局」というところにあると言うのです。
誰からの情報かも分からぬまま、そこにいってみると本当に愛珠からのハガキがあり内容は「死にたい」というものです。
普段の愛珠からは想像もできないほど追いつめられたもので、「あとはジュートに頼むしか。」といったことまで。
愛珠の死の真相を探るためにガロとハヤ、オトヤは帰国していたんですね。
更に調べは進めていて、愛珠は違法カジノでバイトしていたと言います。
カジノに潜入したガロたちは、ここでバイトしている女の子の1人に話を聴きます。
その子によると愛珠はバイトはしてたけど、すぐに辞めた。
何でバイトすることにしたのか、というと「カウンセリングですすめられたから」と答えたとも言うのです。
更に、その女の子はもう私もバイトを辞めると告白します。
というのも、今、横浜で起きている連続殺人事件の被害者は全員あのカジノで働いている女の子だからだと言うのです。
更にそこに来ている占い師にこの前手相を見てもらったら「長生きするよ」と言われたので怖くなって辞めるところだとも。
ですが、その女の子は翌朝、新たな犠牲者として殺されてしまうのです。
彼女の体には羽喰十斗と刻印されており、更に、彼女のバックからは犬童ガロの指紋も検出されます。
何とこれで容疑者としてガロがあがっちゃうんですよね。
その頃、ガロは寄木細工を手に探していました。
この寄木細工は生き埋め事件より前にガロ達が連絡が取れなくなった愛珠の部屋に行って見つけたものでした。
中に何かが入っているんですが、どうしても開きません。
そこで寄木細工のミュージアムにいき、そこで開けてもらえれば・・・となったのです。
そこでガロは愛珠の写真を見せます。
写真を見た店員の辻浩増は見覚えがあるようでした。
そして寄木細工の作者でと愛珠さんは付き合っているように見えた・・・とも。
寄木細工の作者の工房を教えてもらってそこをガロ達は立ち去ります。
一方、警察もガロと目撃情報に上がって来たトランクを押している女の両方が容疑者として挙がっていました。
猫田はガロを探すために寄木細工ミュージアムに行きます。
そして、備前島はトランクの少女について「本当は男のようだ」という話も聞くのでした。
更に、被害者の女性の中には全て「十」という名前が入っているということにも気付きます。
トランクを押している少女はカジノに出入りしている占い師です。
彼女たちの本名を占いの時に聞きだしてターゲットを選んでいたのだとも。
そんな時、猫田は寄木細工ミュージアムにいました。
辻の様子がおかしく、どうかしたのか?と思っていたところ、突然刺されます。
そう、全ての犯人は辻浩増だったのです。
彼は自分は羽喰玄斗の息子で羽喰十斗だと言います。
猫田の意識が朦朧としていく中、十斗のがとどめを刺そうとします。
しかしそんな十斗の前にガロが現れるのです。
ガロは十斗に話を聞かせて欲しい、と自分たちの根城であるクルーザーに招待するのです。
十斗は自分の父親が殺されているのに捜査をしてくれなかった警察を憎んでいて今回の犯行を続けたと言います。
そしてガロは愛珠と十斗の関係も聞きます。
十斗は愛珠が死んだのは自分に会うためにバスに乗ったからだと言います。
本当に愛珠は十斗に自分を殺すように頼んでいたのだと言います。
更に、十斗にカウンセリングについて聞きます。
すると十斗は自分も鳴子巽先生を愛珠に紹介したと言います。
自分が付けている射手座のマークのついた指輪も先生から貰った、というのです。
そんな十斗にだんだんと眠気が襲ってきます。
ガロは十斗に出した飲み物に睡眠薬を入れていたのでした。
そして警察に突き出す、とも。
それはあの女の子を殺したからだ、と。
十斗が眠ってしまったあと、ガロは十斗の指輪を久能に送ることに決めたのでした。
つまり、ここで送った指輪が久能が入院中にプリザーブドフラワーと一緒に送られてきた指輪だったんですね。
ということは、この事件は久能が入院したてのころで、広島から帰ってきたころだったんでしょう。
だから羽喰の真相も明らかになってなかったんだ・・・・ということで色々な疑問が解けていったんですよね。
●エピソード10「ストーカー殺人事件」
物語は久能に戻ります。
ここでは、久能は恩師のお墓参りに来ていたんです。
その人物は、久能の幼少期にとってもお世話になった人物でした。
そしてその人物は、今、久能が通っている大学で教授をしている天達先生の恋人でもあったのです。
そんな天達は久能にバイトをして欲しいといいます。
それとは別にもう一つお願いがあるんだとも言います。
このバイトをするために、久能は天達たちと一緒にある別荘にいくのでした。
バイトの内容は天達の友人の別荘でミステリー大会をするから一緒に参加して欲しい、というものです。
集まったのは
・久能
・天達教授
・相良レン(久能と同じ大学のゼミ生)
・橘高(きつたか)・・・天達の友人
・蔦・・・天達の友人。別荘の主人。
・デラ・・・蔦がネットで知り合った男性
・パン・・・蔦がネットで知り合った男性
でした。
この人たちでミステリー大会をします。
そこでまず橘高が謎解きをしかけます。
それは
「別荘に5人の人間が泊まり、その中の1人が他の4人を殺して逃げた。
しかし警察は犯人に気付かず、集団自殺となった、それは何故か。』
というもの。
悩んでしまっている一同に橘高は「犯人が透明人間だったから」と話すのです。
更に蔦からも謎解きの本題を始めると言います。
それは
『ここの別荘では実は5年前に女性が亡くなっている。
ここには仲の良い夫婦が住んでいた。
しかし亡くなったのはその妻。
事故と言うことになったが夫は「他殺だ!」と主張。
妻にはストーカーがいたのだと言った。』
というものです。
この謎を解いて欲しい、別荘の中は自由に見てくれて構わない、と蔦は言います。
久能は別荘の中を調べていくうちに
・アイビーと名乗る男性からのラヴレター
・妻が描いた絵画
・252ページにしおりが挟まれている本がたくさん
といったものを見つけます。
謎ときには参加していなかった久能ですが、謎解きのメンバーが居間で休憩する時にワインでも飲もう!としているのを大急ぎで止めるのでした。
何故かと言うと、ここまで見てきたもので分かった、と言います。
廊下に飾られている花言葉は
「敵意」
「私は明日死ぬ」
「あなたが信じられない」
「絶望」
などといったものばかり。
そして不自然に挟まれた252ページにしおりが挟まった本。
252は消防無線の通話コードで「SOS」という意味だと。
そして最後に飾られていた花の絵の花言葉は
「あなたの死を望む」
「共に死のう」
というものだということ。
それらを組み合わせて、亡くなったのは蔦の奥さんで、蔦に監禁されていて、ワインに毒を仕込んでいるのだというのです。
この推理を聴いて蔦や天達教授は拍手をします。
実はその全てがこのミステリー大会のためのものなのだと。
全ては作り話だったんですね。
しかし、橘高は「冗談が過ぎる!」と突然激怒します。
というのも、この別荘は天達教授の恋人である喜和が亡くなった場所だったのです。
花の絵もどうやら喜和が描いたものだそうです。
それを全てゲームの設定に使った蔦に橘高は激しく怒るのでした。
天達教授は「もう吹っ切れてるから」とその場をなだめます。
喜和は心理カウンセラーで患者にストーカー行為をされていて、その末、殺害されてしまったのです。
しんみりしてしまった一同はその日はとりあえず別荘で泊まることにします。
しかし橘高は人と一緒だと寝れないから、と庭でテントを貼って寝ています。
久能は自分と同じタイプなんだな、と思うのでした。
そして次の日、久能は皆のカレーを作っていました。
そこで用意されたお皿やコップの数を見て久能はあることに気付くのです。
居間では橘高がワインを開けようとしていました。
久能はそこに飛び込み、そのワインには毒が入っているかもしれない!!と止めるのです。
久能はここで天達教授からバイト前に頼まれたことを伝えます。
それは
「1人だけ嘘をつく人間がいるから見ていて欲しい」
というものです。
それは橘高だと言います。
というのも、橘高にはクセがあり、嘘をつく時に鼻を触るクセがあるというのです。
そしてレンもまた教授に頼まれたことがあるといいます。
それは
「1人だけ嘘をつかない人間がいるから見ていて欲しい」
というもの。
これも橘高だと言います。
これは昨日、ゲーム設定の時に昔の事件のことを持ちだしたことを本気で怒ってたからだ、と。
それほど喜和の事件を触れられたくないのか?と聞きます。
橘高は観念したのか、当時のことを話し始めます。
ストーキングされていた喜和と当時同僚だった橘高。
喜和から電話で
「高校の友人の若宮と言う人が職場に電話してくるから別荘の住所を教えてあげて欲しい。」
というもの。
ストーキング被害にあっていた喜和は蔦の別荘にかくまわれていたのでした。
その後、「喜和の友人だ」という人から電話があり、住所を伝えます。
しかしその電話の相手こそ、喜和のストーカーだったんです。
橘高はすぐに名前を名乗らなかったと気付き、別荘に向かいます。
しかしそこではすでに喜和は殺されており、ストーカー男の自殺していたのです。
自分のしてしまった過ちに橘高は驚愕し、自分の痕跡を丁寧に消してその場を立ち去ったのです。
その話を聞いていたデラとパンはストーカー殺人事件のことを持ちだします。
彼らは天達教授がよんでいた警察の人間だったのです。
橘高はDVやストーカー被害に遭っている人の相談に乗るフリをして被害者の居場所をばらし、殺害させていたのです。
久能はここで、「同時進行しているもう一つのことについて話す。」といいます。
それは橘高がテントで寝ていたことや橘高の食器だけマイ食器でいつも帽子と手袋をしていることをあげます。
橘高はここで自分たちを殺して透明人間になろうとしていた、といいます。
橘高はワインで皆殺し計画が実行中なのでワインを止めた、と言います。
こうして別荘での事件は終わったのでした。
このエピソードでは久能の過去が少しだけ垣間見えましたね。
しかもライカちゃんにもしかするとひかれてるのかも?!なんてところも気になっちゃいましたよ。
■これはもう・・・
あらすじをざっとご紹介しました。
「ミステリと言う勿れ」は本当にすごい物語だな、と思います。
ここまで書いていて、未回収の伏線が結構あることに気付きました。
なので未回収の伏線についてはこちらの記事でまとめておきます(^^)
本当に久能整って人の言葉は深く胸に刺さりますね。
しかもトリックや謎解きも本当に軽快で楽しいです。
是非、「ミステリと言う勿れ」、手にとって読んでみてはいかがでしょうか?
以上「漫画ミステリと言う勿れのあらすじをネタバレ!」をお送りしました。