「MERS(マーズ)」という感染症をご存知でしょうか。
MERSは、2012年に初めて報告されたウイルス性の感染症。
肺炎のような症状と致死率が40~50%と非常に高いことが特徴としてあげられています。
2002~2003年に流行した「SARS(サーズ)」に似たコロナウイルスよる感染症とのことですが、SARSの致死率は9%ほどなので、世界的大流行となると本当に恐ろしいことになりますね。
現在、感染が拡大中とのことで、隣国である韓国・中国での感染も確認されており、子供への感染も気になるところ・・・
そこで、今回は、「
」をお送りします。MERSについて
まずは、MERSについてみていきましょう。
MERSの原因と感染経路
MERSは、MERSコロナウイルスというウイルスによる感染症。
感染症名は、「MERS(マーズ)」。
日本語名は「中東呼吸症候群」となっています。
MERSの潜伏期間は、最長で2週間とのこと。
主な発生地域は中東地域となっていますが、
- ヨーロッパ(イタリア・英国・オーストリア・オランダ・ギリシャ・ドイツ・フランス・トルコ)
- アフリカ(アルジェリア・エジプト・チュニジア)
- アジア(フィリピン・マレーシア・韓国・中国)
- 北米大陸(アメリカ合衆国)
などでも感染が確認されています。
感染経路は確定されていませんが、中東でのヒトコブラクダが感染源の一つと言われています。
中東渡航歴のある人だけでなく、ヒトからヒトへの感染例も確認されていますが、現時点では、MERS患者の家族や医療従事者などの濃厚接触者に限定した感染とのこと。
この濃厚接触者というのが、どの程度の接触を指すのかが気になりましたので調べてみると・・・
感染症などの疑いがある有症者と行動をともにした人、接触した人、航空機などで2メートル以内の座席にいた人。
引用元:コトバンク
航空機の2mというのはイメージしにくいかも知れませんね。
具体的には、前後左右3席を指すんだとか。
隣の人なら様子がおかしい事に気づくかもしれませんが、3席離れていたら自分が感染しているかも知れないなんて思いませんよね。
3席離れたところに家族の1人が座っていた場合は、さらにその家族も濃厚接触者に該当するのでしょう。
空港では、サーモグラフィなどで発熱を確認するなどの対策をとっていますが、それでもタイミングによっては入出国してしまう可能性がゼロではないんですよね。
あってほしくないですが・・・。
公的機関のチェックは、もちろん必要ですが
ことや
これが感染拡大を食い止める為に重要な事だと思うんですが、なかなかそうはならないのが現実のようです・・・。
MERSの症状と致死率について
MERSの主な症状と致死率についてみていきましょう。
MRESの主な症状は
- 発熱
- せき
- 息切れ
- 痰
- 肺炎
- 下痢などの消化器症状
などがあげられています。
「中東呼吸症候群」という感染症名から分かるように、MERSは呼吸器の症状が多いのが特徴です。
重篤化しやすい人の傾向としては
- 高齢者
- 糖尿病患者
- 慢性肺疾患、免疫不全など基礎疾患のある人
などがあげられています。
例にあげられていませんでしたが
- 乳幼児などの小さな子供
- 呼吸器疾患のある人
なども重篤化しやすいのではないでしょうか?
重い肺炎の症状が続くという症例もあるようなので、子供への感染は何としても避けたいですね。
致死率が40%というのも、軽視できません。
しかし、その一方で感染しても
- 症状が現れない人
- 軽症の人
もいるんだとか。
症状が現れない人が自分でも気づかないうちに・・・ということもあるということですね。
MERSの治療について
MERSには、現在のところワクチンや確立された治療法はないとのこと。
確立された治療法が見つかると致死率も下がると思うんですけど、現在はまだ確立されていないんだとか。
患者の症状に対して対症療法での治療がおこなわれます。
MERSの予防について
MERSの予防対策をチェックしておきましょう。
感染経路は確定していませんが、飛沫感染は確実に意識しておいた方がよいでしょう。
感染症対策の基本ともいえる
- 石けんを使った手洗い
- マスクの装着
- 消毒(アルコール)
- 粘膜を触らない
などの予防対策があげられています。
子供は、すぐ目をこすったり口に指を入れたりしてしまいますから、特に注意が必要となります。
感染を避けるためには、インフルエンザと同様に人混みを避けることも重要ですが、集団生活をしていると自分が避けていても・・・ということも大いにありえるんですよね。
外出先では、マスクの装着は必須!
子供がマスクをつけ続けるのは大変なことだとは思いますが、通園・通学中の子供たちにもマスクをしっかりと装着させましょう。
また、マスクが気になって目をこすったりしてしまうかも知れませんので、手すりやドアなどを触ったら手洗いをするよう話をしておきましょう。
不用意に物に触れない、帰宅時は玄関で手の消毒をしてから家に入るなど、色々な予防法を併用するのが望ましいですね。
また、マスクを外す際に気をつけなければならないのが、マスクの表面についたウイルスに触れないようにすること!
ビニール袋を使って直接触れないようにし、そのまま捨ててしまいましょう。
MERSコロナウイルスは、外側にエンベロープという殻を持つウイルス。
このタイプのウイルスは、アルコールや塩素系消毒剤で不活化されるとのこと。
消毒の方法や消毒液については下記のとおり。
目に見える環境汚染に対して清拭・消毒する。手が頻繁に触れる部位については、目に見える汚染がなくても清拭・消毒を行う。
使用する消毒剤は、消毒用エタノール、70v/v%イソプロパノール、0.05 ~0.5w/v% (500~5,000ppm) 次亜塩素酸ナトリウム等。
なお、次亜塩素酸ナトリウムを使用する際は、換気や金属部分の劣化に注意して使用する。
引用元:国立感染症研究所
ということで、玄関に
- マスクを取る&捨てる用のビニール袋(1回ごとに口を縛って捨てる)
- アルコール消毒剤
をセットし、帰宅時にできるだけ室内に持ち込まない工夫をしましょう。
また、室内に入ったら、うがい手洗い消毒などの本格的な対策をしっかりと行いましょう。
韓国でMERSの感染が拡大中
韓国で初めて感染が確認されたのは、2015年5月20日。
感染したのは中東への渡航暦がある人物で、家族や医療従事者・入院患者などへのヒト―ヒト感染も確認されており、患者数は6月3日現在で30人と発表されました。
感染の可能性のある人たちの隔離だけでなく、学校や幼稚園が休校・休園になるなど感染拡大を防ぐ対策がとられています。
自宅や医療機関などで隔離れている隔離対象者は、1,364人(3日現在)。
韓国でMERS患者が発生した学校のある京畿道(キョンギド)では
韓国・京畿道(キョンギド)のある地域だけでも1400人以上の学生が高熱などの風邪の症状で調査を受け、教育関係者は衝撃に陥っている。
一部の学生は熱がひどく、数日間学校を欠席していることが確認された。
(中略)
一方、この日、京畿道地域では、韓国初のMERSによる死亡者が出たことで、5地域・150余りの学校が臨時休校に入った。
引用元:http://www.wowkorea.jp/
とのこと。
しかし、自宅隔離対象者の管理がしっかりできていないようで・・・
自宅隔離対象者が自由に外出!?
MERS感染疑いのため、自宅で自主隔離中の男性が行方不明になっているという衝撃的なニュースが・・・
保健所の要請によりA氏に対する位置追跡をした警察は、A氏の最終目的地がソウルではなく地方のある場所だという事実を確認し、捜索を続けている。
引用元:http://www.wowkorea.jp
とのこと。
この他にも・・・
最初のMERS(中東呼吸器症候群)死亡者で25人目の患者(57歳女性)側から「MERS患者接触」に対する通知を受けても、途中、連絡が途絶えたという理由で放置していた事実が明らかとなった。
(中略)
この死亡者は5月15日から17日の間に、最初の患者とB病院の同じ病棟にいたが他の病院を経て、5月25日、京畿道(キョンギド)にある某大学病院に入院した。
しかし、保健当局はこの患者が死亡する前日である5月31日になってようやく、感染の疑いのある患者だと病院側に通知し、隔離および集中管理がおこなわれた。
引用元:http://www.wowkorea.jp
とのこと。
さらには
ソウル在住の女性は感染者と同じ場所にいたとして、自宅での隔離対象者となった。
一次検査で陰性の診断を受けた後も隔離が解除されなかったにもかかわらず、2日午前、夫と南西部・全羅北道のゴルフ場に出かけ、15人の団体でコースを回った。
引用元:http://www.jiji.com/
最長潜伏期間の2週間が経過する頃、どのような状況になってしまうのでしょうか・・・。
韓国から中国・日本への感染拡大の可能性は?
韓国国内での感染者と隔離対象者の行動を見ていると、いつどうなるか分からないと言っても過言ではないでしょう。
感染者が何らかのミスで出国してしまい、感染報告のない国へ入国してしまったら、一気に感染は広がってしまうでしょう。
中国国内の感染情報
5月29日に中国初となるMERS感染者と判定を受けたのは、韓国人男性でした。
この韓国人男性は、出張のため26日に韓国から香港経由で中国に渡航し、中国国内を移動しながら仕事をしていたとのこと。
29日に広東省恵州内の病院で、隔離治療を受けていると発表されました。
この男性、実は、出国前に父親がMERS感染の陽性判定を受けているんです。
韓国当局は警告を行ったと報じられていますが、警告を無視して中国へ渡航し自身も発症してしまったという・・・。
それも、香港や中国を移動していたことで、感染の拡大が懸念されています。
この韓国人男性の濃厚接触者の人数は77人と発表されましたが、10人把握できていないんだとか・・・。
一体どこでどのように過ごしているんでしょう。
その10人の中に1人でも感染者がいたと仮定すると・・・
本当に恐ろしいですね。
日本国内の感染情報
日本では、中国のような感染者入国の報道はありませんが、中国へ渡航した韓国人男性が搭乗した航空機に関してこんな報道が・・・
それは
重い肺炎などを引き起こす中東呼吸器症候群(MERS)の感染者が搭乗した韓国・アシアナ航空機が、消毒されないまま日本愛知県の中部国際空港まで飛行していた
引用元:Yahoo!ニュース
というもの。
詳細をみてみると
韓国紙、朝鮮日報系の経済ニュースサイトは2日までに、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスに感染した韓国人男性(44)が5月26日に利用した韓国・仁川発香港行きの航空機が、消毒されないまま27日まで名古屋や中国・大連などへの運航を続けたと伝えた。
報道は、韓国保健当局から運航会社のアシアナ航空への連絡が遅れたためと指摘。28日に中国・長沙から仁川への飛行を終えた後、消毒が行われたという。(共同)
引用元:http://www.iza.ne.jp/
ということなんです。
感染の可能性が分からなかったというなら、対応が遅くても仕方がないという部分もありますが・・・
警告を聞かずに出国させただけでなく、入国を止める手配もできず、その後の対応もあまりにも遅すぎるのではないでしょうか。
これから、日本各地も観光シーズンを迎えます。
入国対策はしっかりと行っていただきつつ、自衛できる部分は自衛していきましょう。
MERSが疑われる場合
自分、もしくは家族などがMERSに感染している可能性がある場合は、最寄の保健所に電話で相談しましょう。
(保健所一覧はこちら)
保健所に電話した後の大まかな流れとしては、
- ①各都道府県などの検査機関でMERSコロナウイルスのスクリーニング検査を行い、陽性になった場合は患者発生届出を提出。
- ②国立感染研究所にて確定検査
- ③陽性の場合は、治療・濃厚接触者の隔離対応など
となるとのこと。
感染・発症してしまった場合、非難される事を恐れて黙っていると感染を拡大してしまうだけでなく、自分の命もどうなるかわかりません。
自分自身・子供・家族のためにも、早急に対応しましょう。
また、濃厚接触者に指定された場合は、自分勝手な判断で外出をするなどの軽率な行動は慎みましょう。
感染が拡大しないことを願うばかりです。
以上「MERSの症状と致死率と予防対策について!韓国から日本中国へ感染の可能性は?」をお送りしました。
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