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伊坂幸太郎『マリアビートル』のタイトルの意味や伏線を考察!鈴木や木村夫妻の正体や印鑑の仕掛けなど

日本の良作は海を渡ります。
軽快な文章と、至る所に散りばめられたギミック。

そして最後には全ての伏線の爽快すぎる回収。
これこそ、伊坂幸太郎作品の醍醐味ですよね。

そんな伊坂幸太郎さんの『マリアビートル』がハリウッドで実写映画化されるんですよ!
主演はブラッド・ピットでこれまた期待大!

そこで今回は、実写化される前に押さえておきたい『マリアビートル』の

  • タイトルの意味
  • 伏線
  • 鈴木って誰だっけ?
  • 木村夫妻って誰だっけ?
  • 印鑑

についてじっくり考察していきたいと思います。

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『マリアビートル』のあらすじおさらい

伊坂幸太郎 マリアビートル 意味 伏線 考察

『マリアビートル』は伊坂幸太郎さんの作品の中でも人気の高い『グラスホッパー』の続編(?)のようになっています。
完全に続編となっているわけではありません。

主人公は完全に変わっていますし、前回の登場人物がガンガンに出てくる話でもないのです。
しかし、「グラスホッパー」を読んでおけば今回の『マリアビートル』もクスっと笑える場面が多くなりますよという感じの続編です。

ちなみに、『マリアビートル』の続編としては『AX』という作品があります。
この世界観が好きという人は是非、読んでみてくださいね。

更に、映画『グラスホッパー』についてはこちらの記事でもご紹介しております。



あわせてご覧ください。


さて、『マリアビートル』ですが、今回の主人公は気弱な殺し屋「天道虫」です。
いつもいつも運が悪い彼ですが、殺し屋としての腕は確か。

彼が受けた依頼は、疾走する東北新幹線の車内であるトランクを奪うこと。
簡単すぎる依頼でしたが、運が悪いことに定評のある「天道虫」はすんなりと依頼を終わらせることができません。

その新幹線の中には幼い息子のカタキウチを計画している元殺し屋の「木村」。
悪魔のような心を持つ優等生の「王子」。

闇の世界では知らない人のいない帝王からの依頼を受けている腕ききの殺し屋「蜜柑」と「檸檬」。
接点のないようなこの人物たちが、新幹線の中で交錯していく物語になっています。

ちなみに!
私は予告編を見ただけで気分が上がってしまったんですが、ハリウッド映画になった『マリアビートル』がこちら。

なんだかスタイリッシュだし、闇の世界のボスがまさに!って感じで登場するところとか。
ブラッド・ピットが「天道虫」の気弱感を出してるところとか、最高におもしろそう!!と感じてしまいましたね(^^;
ネタバレをしていますので、嫌だなあという人は注意して下さいね。

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『マリアビートル』の考察まとめ

今回、考察していくのは

  • タイトルの意味
  • 鈴木の正体
  • 木村夫妻の正体
  • 印鑑の仕掛け

の4点です。

では早速いってみましょう。

考察①「マリアビートルの意味は?」

前作、「グラスホッパー」からの続編・・・第2段という位置づけのこの作品。
伊坂幸太郎さんの作品ってタイトルももちろん印象的なものが多いんですよね。

「マリアビートル」って一体なんのことだ?と思った人も多いでしょう。
今回の主人公は「天道虫」という殺し屋。

しかしこれはコード名みたいなもので、本名ではありません。
「天道虫」の本名は「七尾」。

「七つ星天道虫」ということで、「天道虫」というコード名にしたんですね。
天道虫は英語では「レディビートル」と言います。

ここからレディの所を「マリア」に変えたんですよね。
では何故「マリア」に変えたのか?

それは天道虫の由来からです。
聖母マリア様は赤い服を着ていることが多い女性です。

そして天道虫も赤い背中。
天道虫の背中にある7つの黒点はマリア様の7つの悲しみを意味していると言います。

マリア様の7つの悲しみを背負ってお日様に向かって読んでいく天道虫。
どこからかふっと現れて、色んな人の悲しみをぬぐい去りいなくなっていく、それこそがマリア様の使いの虫だ!ということで「レディビートル」と呼ばれているんですね。

まあ、これは逸話の1つなのですが。
しかしここからとったんだと思われます。

レディのところを「マリア」に変えることで更にこの意味が増していますよね。
更に七尾がまさに「マリアビートル」の逸話を体現している物語になっているのではないでしょうか?

「マリアビートル」というタイトルも殺し屋シリーズの第1段、「グラスホッパー」との繋がりを感じさせてくれるものになっているんですよね。
「グラスホッパー」は英語で「バッタ」の意味ですよね。

バッタに天道虫、この繋がりが良いんですよね。
先ほど、ご紹介したように「マリアビートル」の続き、第3段に「AX」があります。

それってどんな昆虫なの?!と思ったかもしれません。
この「AX」というのは「アックス」の事で「斧」です。

ええ?!昆虫じゃない!と驚くかもしれません。
しかし焦りは禁物です。

この「AX」というタイトルは本文を読んでいくとその意味が明らかになってくるのです。

本文には
『蟷螂の斧』
という単語が出てきます。

この意味は「はかない抵抗」というたとえで使われています。

『蟷螂(とうろう)』とは「カマキリ」のことで、メスに食べられるのを恐れているオスのカマキリをイメージしているんだと思います。
そう、「AX」の殺し屋は「兜(カブト)」で恐妻家なのです。

コード名は「カブト」と強そうな名前ではありますが、その実はメスに食べられることを恐れている愛妻家でもあり、恐妻家でもあるのです。
ということで、一見関係なさそうに見える「AX」というタイトルも

バッタ→テントウムシ→カマキリ
と繋がっているんですね。

もし更に続編が出るのであれば次は何の昆虫なんだろう?!とワクワクもしてしまうようなタイトルなんです。

考察②「鈴木の正体」

東北新幹線から下車することができなくなってしまった七尾。
そんな彼に塾の講師をしている鈴木という人物との出会いがあります。

とても落ち着いていて感じの良い人なんですが、もう勘の良い人は分かりますよね。
今回、檸檬と蜜柑が依頼を受けていた峰岸の紹介の所でも出てきた「グラスホッパー」の世界。

寺原の名前が出てきた時にはブルブルと震えを感じましたね。
そんな震えがまた「鈴木」の登場で経験できるんですから!

面白い作品です。
鈴木、というのはそう「グラスホッパー」で愛する妻を寺原の息子のせいで殺されてしまった主人公。

最初はこき使われるばかりの人物でしたが、復習を胸に誓い寺原に近づきその思いを遂げる人物です。
そんな鈴木が、東北新幹線で登場。

しかも塾の講師として働いているという情報付き!!
これはこのシリーズのファンなら激アツな展開ではないでしょうか。

ごく普通の登場人物として出てはきますが、どこか隠せないその鋭さ。
これが少しでも感じられただけでも十分でしたよね。

七尾と一緒に行動していたり「王子」に質問していたりした時には「いいぞ!!」と応援してしまったものです。

考察③「印鑑の仕掛け」

『マリアビートル』に限った事ではありませんが、伊坂幸太郎さんの作品では、複数の登場人物が出てきて、それぞれの視点で語られていくことで章が進んでいくということがあります。

この殺し屋シリーズもそうです。

『グラスホッパー』も『マリアビートル』も『AX』も。
視点が変わる瞬間、章の変わり目には必ず印鑑が押されています。

そんな『グラスホッパー』の踏襲だと思っていた印鑑にも実はある仕掛けがあるのに気付きましたか?
各章に押されている印鑑。

しかし、木村が撃たれてしまう章の所だけ「木村」のハンコが少し斜めになっているんですよね。
これこそまさに「ああ!」と気付けることができれば面白いギミックですよね。

考察④「木村夫妻の正体」

一番の驚きはこれですよね。
意識不明の重体になっている息子の復習を果たすために東北新幹線に乗り込んできた「木村」。

その木村の父親と母親が木村夫妻です。
何故、木村の息子が寝たきりの渋滞になってしまったのか、というと、天使のような顔をした悪魔「王子」のせいなんです。

「木村」は元アルコール中毒で、元殺し屋。
離婚してからは親一人子一人で暮らしてきました。

そんな木村は王子という中学生との出会うことで人生が一気におかしな方向へ。
王子は自分は何でもできると過信している中学生。

人を殺すことに何の罪悪感も感じず、自分の言葉一つで同級生を思い通りに操ることができると考えている人物ですね。
この「王子」は本当に伊坂幸太郎作品の中でも秀逸に「悪人」です。

嫌い!と答える人も多いでしょう。
私も好きではありません(^^;

そんな王子のせいで息子がビルの屋上から転落し、意識不明になっているんですね。
息子のカタキウチをするために王子が乗っている新幹線に乗り込んでくるのが木村なんですよね。

そんな木村にも父と母がいて、意識不明の重体である孫を心配している2人、それが木村夫妻です。
名字が一緒なので(当然(^^;))ややこしいですが、彼らもまた新幹線に乗り込んできます。

これは後半も後半なんで、本当にネタバレが嫌な人はここから先は読むのを辞めてくださいね。

木村夫妻は新幹線に乗り込んできて王子の「悪魔的な何か」を見抜きます。
しかも単身乗り込んで来たのではなく、用意周到に手を打って乗り込んできているんですよね。

王子は、木村(息子)が自分に復讐しようとしていることを事前に察知し、病院にいる子どもを人質にとっていました。
そして自分に手が出せないようにして弄んでいたんですよね。

それを木村夫妻にも言うんですが、新幹線の電光掲示板(車両の中にあるニュースを流すところですね)には「お孫さんは無事です」という言葉。

これに面食らった王子ですが、更に木村夫妻は
「あなたは孫に手を出しちゃったからね。」
と絶対に許さない!というスタンス。

ここの場面は本当にスッキリしたり、しかも一番怖いよ、この夫婦!!と思った場面でもあります。

というのも、木村夫妻というのは元伝説の殺し屋で、七尾が冒頭の方でパートナーのマリアと話していた「寝起きの悪い殺し屋」その人だったんですよね。

一気に伏線回収とはこの事だ!というところですよ。
しかしなんで「寝起きの悪い殺し屋」と分かったのか、というと木村夫妻が頼んでいた仲介業者からの電話でそれが判明します。

仲介業者は「良い報告と悪い報告がある」と告げます。

良い方から頼む。というと

『お孫さんを狙ったやつは今、車道で寝ています。』

と。

これはグラスホッパーにも出てきた謎起き押し屋「槿」の仕事です。

ここでも出てきましたね!
しかも「槿」、タイトルの「マリアビートル」の伏線の説明もしてくれていて今回も存在感あるなあと感じたものです。

そして悪い方。
孫のベッドの下で不審者がきたらやってやろう!と待ち構えていた仲介業者。

いざ!と出た時にベッドがグラグラっと揺れて

『お孫さん、起きちゃったみたいなんですよ。』

と。

意識不明の重体だった彼が目を覚ますなんて奇跡、良い報告でしかないのに!と思うかもしれません。

しかし仲介業者は震えながら

『だって寝てるのに起こすとすごく不機嫌になってたから』

というんですよね。

またこのスタイリッシュな伏線回収に身もだえましたよ。

『マリアビートル』の伏線は最後の最後まで

『マリアビートル』の登場人物で一番好きなのは?と聞かれると私はもちろん「蜜柑と檸檬」と答えます。
作中では王子の罠にはめられちゃいましたが、それでも最後の最後、七尾がスーパーで貰った福引で復活します。

七尾がスーパーの福引であてたのは箱いっぱいに詰められた「蜜柑と檸檬」。
しかもちょうど半分ずつ。

大好きな2人が最後に復活してて、本当に嬉しかったんですよね。

実は、伊坂幸太郎さんも『AX』が発売された後のインタビューでこんなことを話されていますよ。

これは!!!!
すごく期待の膨らむ内容ですね。

是非、実現しますように!!と願って待っていたいですね。

以上「伊坂幸太郎『マリアビートル』のタイトルの意味や伏線を考察!鈴木や木村夫妻の正体や印鑑の仕掛けなど」をお送りしました。



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