外の空気を吸うと、なんだか春の匂いがするようになったと思いませんか?
春が近づいてくると、衣替えをしたり、模様替えをする人も多いと思います。
それに合わせて、兜や鎧を飾るという人もいるんじゃないでしょうか。
しかし、これって一体何のために飾っているのかご存知ですか?
今回は
こどもの日に兜を飾るのはどうして?
元々、こどもの日というのは「端午の節句」でもありました。
これはいわゆる厄除けの風習で、菖蒲などの薬草摘んで無病息災を願った日なんですね。
そこで摘まれていた薬草の菖蒲なんですが、なんだか剣の形に似ているな…ということから、男の子のお祝いをする日として広まっていきました。
古くは宮中行事として記述が残っており、江戸時代になると正式に端午の節句(または菖蒲の節句)として制定されることになりました。
ちょうど、この節句と言うのは季節の変わり目にも当たりますので、体調を崩しやすい人が多かったことから、無病息災を祈ったんでしょうね。
端午の節句と言えば、「菖蒲湯」に浸かる人も多いかと思います。
この菖蒲湯に浸かるのは、菖蒲と「尚武(武を尊ぶ)」をかけたとも言われており、武芸に秀でた若者に育ちますように、との願いも込められているんです。
更に、鎧や兜を飾るんですが、この端午の節句は武家の習わしでした。
将軍家に男の子が生まれると、5月5日にのぼりを立てて祝い、お城の中には後々着ることになるかもしれない息子の鎧兜を飾って邪気を打ち払ったとされています。
これを江戸時代に商人たちがまねるようになります。
しかし、本物の鎧兜を飾ることはせず、ハリボテで作られたものや、より豪華なもの、つまりは実戦向きでないものを飾るようになったんですね。
ここで、商人は武家さまと張り合っていたということです。
当然財力は商人の方が持っていましたから、より華美になっていったんでしょう。
どの家庭でも端午の節句に鎧兜を飾って、邪気を追い払い、無病息災を祈ったということが由来です。
武者人形には何の意味があるの?
鎧兜の隣に、武者人形を飾る人もいるかと思います。
鎧兜で邪気を祓うのならこれはもういらないんじゃないの?と思われたかもしれません。
しかし、武者人形には邪気を祓うという意味とは違った役割があるんです。
起源は江戸時代になります。
お武家さまに負けまい!と商人たちは細工を施した鎧兜を競うように飾りました。
この時に、己の財力をかけ、兜の頂の部分に人形細工を作ったとされています。
この人形は神様が降りてくる時の目印になるように…として作られたようで、歴史上の偉人や豪傑たちをモチーフにしていました。
次第にそれが兜は兜になり、人形は人形にと変化したんです。
神様のヨリシロとして五月人形が庶民の間に広まり、当時、人形(ヒトガタ)信仰という人形には魂が宿るという信仰と相まって定着していったんです。
つまり、兜や鎧で邪気を祓い、五月人形で神様においで頂き、幸せをもたらしてもらう、という思いが込められていたんですね。
こどもの日の兜は一体いつからいつまで飾ればいいの?
では、この兜と鎧、一体いつ出すのが常識なんでしょうか?
これは決まりごとはありません。
しかし避けたいのは端午の節句の前日に慌てて出すというもの。
何でもお飾りは一夜飾りというものを嫌います。
そのため、あまり直前になって飾るというのは風情もありませんし、なんとなくご利益もない感じがしませんか?(^^;
そこで一番おすすめの時期をご紹介します。
こどもの日の兜を飾るならこの日から!
一番多いパターンは、春のお彼岸を過ぎた頃に飾るという人です。
春のお彼岸というと「春分」です。
これは日本古来の24節季の1つですよね。
端午の節句もまた24節季なので、1つ前の季節の節目が済んだら飾る、と言う人が多いようです。
しかしこの時期、3月末は年度末で色々と忙しいことが重なる時期でもあります。
そういった時は、そこまで気にしなくても、4月の上旬あたりまでに飾ることができればOKでしょう。
桜が満開になるころには飾っておきたいですね。
他にも、4/29日ごろに飾るという人もいました。
これは兜の痛みを心配しているようで、人が集まるGW前に出して楽しむ、ということのようです。
こどもの日の兜を片づけるのは一体いつ?
では、飾ったものは片づけましょう。
なんですが、実は兜飾りは厳密に言うと片づけなくてもいいものなんです。
一年中兜を飾っている人もいます。
お雛様のように早く片付けないと、お嫁に行き遅れるという言い伝えもありませんので、一年中やってくる邪気から守ってもらうためには飾るのもいいでしょう。
しかし、一年中兜を飾ることになると、お手入れが肝心になってきます。
兜というのは直射日光に弱いものです。
そして、湿気にもこれまた弱いものです。
風通しの良い日陰を選び、ほこりが付いたら綺麗にしてあげましょう。
本当にみるみるうちに痛んでしまいますのでね。
そこで、兜を片づけるのはいつがいいのか?ということになりますと、5月中には片づけるようにしましょう。
これは何故かというと6月になると梅雨入りします。
雨が続いたりすると湿気をふくみやすいものです。
これは保管にまた困ることになります。
そうなる前に、5月中の五月晴れの日を選んで片づけるようにしましょう。
縁起を担ぐ人は大安に片づけると言う人もいます。
これは「友引」でも大丈夫ですので、暦を参考にされるのもいいですね。
こどもの日の兜は一体誰が買うのがベスト?
このこどもの日の兜、実は結構お値段が張ります。
それもそのはず、一度ご覧になられれば分かるかと思いますが、相当細工が細かいです。
しかも最近の兜は現代風のおうちにも似合うようなモダンなテイストのものもたくさんあります。
お子さんがいなくても、これをコレクションにしている人もいるぐらいなので、相当な良いものです。
この大きな買い物は一体誰がするのでしょうか?
これは子どものお母さんの両親が買うのが一般的とされているんです。
そこにはまらもや古くからの歴史がありました。
何でお嫁さん側の両親が買うの?
昔の風習で、鯉のぼりは「外飾り」と言われるものでした。
つまり自分の家にこのたび元気な男の子が生まれましたよ!ということを町中に知らせるためのものですね。
一方で、鎧兜は家の中で無病息災を祈願する「内飾り」です。
生まれた息子が後継ぎとして無事に成長できますように、と祈ったんです。
この事から、「鯉のぼり」は旦那さん側の両親が。
「鎧兜」はお嫁さん側の両親が買うというのが流れになったんです。
そして鎧兜を買ったお嫁さん側の両親が、嫁いだ先で自分の娘はどんな扱いを受けているのか?こっそりチェックしにいくツールにもなってたんですね。
今のように、お嫁に行った後も自分の実家に帰るということはほとんどできませんでした。
お嫁に行った先の家業を手伝ったり、育児や両親の面倒を見たりすることが常です。
お嫁さんの両親は元気にしているのか?困ったことになっていないのか?と少しでも様子を見たいと思ってます。
そこで、端午の節句に「鎧兜」を買い、会う名目を作ったともされています。
昔の人は、子どもが娘ばかりだと家がつぶれる、と言われるほど、お嫁さん側の両親には金銭的負担が大きかったんですね。
これが絶対!ではありません
確かに風習を見てみると、お嫁さん側の両親が買うのが一般的です。
しかしこれを絶対に守らなくてはいけない!という決まりはありません。
金銭的に余裕があるのなら、旦那さん側の両親が用意しても何の問題もありません。
また、片方の両親にだけ負担してもらうのはカドがたつから…と子どものお父さんお母さんが買ってもいいんです。
しかし困るのは、旦那さんのお母さんから「息子の兜が綺麗に残ってるから、それをどうぞ。」というパターンです。
一般的に、鎧兜は邪気を打ち払ってくれるものですので、「お下がり」はあまり良くありません。
しかし最近では、アンティークに関するとらえ方が違ってきています。
古き良きものを、息子が受け継いでいく、という考え方ならそれはそれでOKではないでしょうか?
あまりにも古ぼけたような兜ならやんわりと御断りしたいものですが、なかなか伝えるのは難しいですね(^^;
全てを前向きにとらえよう!
鎧兜の問題では、両方の両親が私が買う!私が買う!となる問題があります。
そこでダチョウ倶楽部のように「どうぞどうぞ」と言えればいいのですが、意地やプライドが邪魔してなかなか譲れなかったりもしますよね。
そんな時は、ただ困った…と頭を抱えるのではなく、自分の子どもはこんなにもたくさんの人から思われてる幸せ者だわ、と思うようにしましょう。
両方の両親に言いやすい人物が言いやすい事を伝え、物事を丸く収めるように立ち回りましょう。
いつまでも揉めたままにしていては折角の子どもの日も台無しです。
もめごとを呼び込まないためにも、もう最初から、旦那さんの両親には端午の節句の会食の準備を。
お嫁さんの両親には、鎧兜を…とあらかじめお願いしておく!というのも1つの手ですよ。
ぜひ、楽しい子どもの日にして下さいね。
(P.N.オレンジ)
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以上「こどもの日の兜の由来と意味!飾るのはいつからいつまでで誰が買うのが常識?」をお送りしました。
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