風の名前って実は2000以上もあるんだそうです。
季節ごとに特徴的な風が吹き、季節の到来や気をつけなくてはいけない気象現象などを伝えてくれる風。
そんな風の中の1つに「空っ風(からっ風)」があります。
でもこれって何か違う風といっしょくたになってしまったりしていませんか?
空っ風にも特徴があり、その時期なども限定されています。
そこで今回は、空っ風の
- 読み方や意味合い
- 原因
- 時期
- 季節風ややませとの違い
について詳しくご紹介していきましょう。
からっ風とは
空っ風(からっかぜ)と聞いて「ピン!」と来た人は関東地方に住んでいる、または住んでいたことのある人かもしれません。
というのも、からっ風は
『関東地方や東北地方の太平洋側で冬から春先にかけて吹く、北西よりの乾燥した風』
というざっくりとしたものなんだとか。
冬の気象現象の1つとされていて、日本海側から山を越えて関東平野に吹き下ろす乾燥した冷たい風のことをさすようです。
からっ風の他にも「赤城おろし」「那須おろし」「筑波おろし」「遠州のからっ風」などと呼ばれることもあります。
空っ風の原因は?
空っ風は「季節風」の一種です。
しかし、空っ風の原因には「フェーン現象」が大きく関わってきます。
そもそもフェーン現象とは、冷たく湿った風が山を越えた後温かく乾いた桐生となって下降し、周りの気温を上げる現象のことです。
これは夏場の場合のフェーン現象です。
空っ風は冬から春先にかけて乾いた風が吹くものを言います。
この時は西高東低の気圧配置にあります。
このため、シベリア上空で発達した高気圧から南東の太平洋の上にある低気圧に向かって季節風が吹きます。
この時、湿っている風は日本海側の山にぶつかってそこで雲を作り、雪や雨を降らせます。
ここで水分のほとんどがなくなってしまうんですね。
なので山を下りてくる時は乾燥している風になります。
と、同時に、元々気温が低いため山を吹き下ろしてくる風は冷たく感じ、体感温度の低下を招くのが空っ風の正体です。
とても強い強風なので余計に冷たく感じてしまうのかもしれませんね。
空っ風が引き起こす影響は?
冬から春先にかけて吹く乾燥した冷たい風ですが、空っ風が吹くことによって引き起こされる影響は
- 強風により看板や瓦が飛ばされてしまうこともある
- 乾燥した風なので火事の延焼を起こしやすい
- 群馬県では畑の砂が巻き上げられて空が黄色くなる光景が見られる
などです。
昔は道路の舗装はされていなかったので空っ風が吹く時には風塵が酷く舞い上がる埃は江戸の名物にもなっていました。
ですが、空っ風にはメリットもあります。
それは
- 強風を利用して風力発電ができる
- 乾燥を利用して加工食品工業が発達している
といったところです。
魚や農作物の天日干しが盛んになっていったのは空っ風があったからこそなのかもしれませんね。
空っ風と季節風は違うもの?
空っ風は季節風の中の1つです。
季節風というのは一年を通して吹いている風です。
しかし、季節によって吹く方向が違ってくる風なんですね。
なので季節ごとにその特徴も変わってくるんです。
やませと空っ風の違いは?
やませは「山背」とも表記されます。
この風は『6~8月ごろに北日本の太平洋側で吹く北東の風』のことをさします。
親潮の上を通って吹く風なのでやませは冷たく湿った風となります。
なのでやませが長く吹くと「冷害」を引き起こしてしまうという風になります。
吹く時期ももちろん違う二つの風ですが、特徴も「乾燥している風」が空っ風なのに対し、湿った風の場合は「やませ」となります。
空っ風と木枯らしの違いは?
もう一つ混同されやすいのが木枯らしです。
木枯らしについてはこちらの記事で詳しくご紹介しております。
あわせてご覧ください。
木枯らしは北から西北西までの風で最大風速が毎秒8m以上という条件があります。
一方、空っ風は冬から春先にかけて関東地方などで山を越えて吹き下りてくる乾燥した風のことなのです。
どちらも寒さを感じる風ではありますが、その特徴は大きく違っていますね。
からっ風は季節風の中の1つ
季節風の中には様々な名前の付いているものもたくさんあります。
普段から使っていて馴染みのあるもの、またはないもの。
色々な種類のものがありますよね。
しかしその特徴は千差万別で季節の訪れを感じさせてくれるものでもあります。
これからは少しだけ風を感じながら季節の訪れを感じてみたいものですね。
以上「空っ風(からっかぜ)とは?その読み方や意味合い!原因は何で時期はいつごろ?やませや季節風との違いについても」をお送りしました。