3月3日と言えば桃の節句です。
女の子の健やかな健康を祈ってお祝いをする日ですよね。
ひな祭りの日には、昔から伝わる食べ物やお菓子もたくさんあります。
でも、ちょっと考えてみてください。
ひな祭りに食べる料理やお菓子ってどんな意味や由来があって食べているのか知っていますか?
もし子どもから
『なんでこれを食べるの?』
なんて聞かれたらなんて答えましょう?!
そんな困ったことにならないように今回は、ひな祭りの食べ物やお菓子について子どもにもわかりやすく説明できる方法をご紹介します。
特に、菱餅。
どうしてあのような形なのか?についても詳しくご紹介します。
ひな祭りには何食べる?
ひな祭りと言えば
- ひなちらし
- ひなあられ
- 菱餅
- 白酒
- ハマグリのお吸い物
などを食べる家庭も多いかと思います。
どれも華やかでひな祭りをすごく彩ってくれますよね。
では、それぞれの意味や由来をご紹介していきましょう。
はまぐりについては、こちらの記事で詳しくご紹介しております。
あわせてご覧ください。
ちらし寿司以外の主采や副采については、こちらの記事でどうぞ。
これらの食べ物は行事の時に食べる行事食と呼ばれるものです。
行事食というのはその時の旬の食材を取り入れて、体調を崩しやすい季節の変わり目に家族の健康や長寿を願うために食べるものです。
と同時にひな祭りに食べられる食べ物は神さまへのお供え物としての役割も果たしています。
ひな祭りは、女の子の健やかな成長を祝う日です。
また、これからも厄災から守ってもらうことを祈願する日でもあります。
子どもの守り神であるひな人形にお供えをする神饌(しんせん)としての役割も持っているのです。
ひな祭りの由来や意味については、こちらの記事でどうぞ。
ひなちらしって何で食べるの?
お寿司の起源は平安時代にあります。
「なれ寿司」というアユやフナを使ったお寿司がお祝いの時には貴族の間で食べられていました。
このなれ寿司が次第に「ちらし寿司」に変化していったという説があります。
なれ寿司は、今のちらし寿司のように華やかなものではありませんでしたが、当時は貴族の間でしか食べられないお祝いのお膳だったんですね。
ここに菜の花やえびなどを入れて彩り豊かになっていったということなんでしょう。
ひなちらしを食べる意味
ひなちらしの中には、たくさんの具材が入っています。
- えび
- レンコン
- 豆
などですね。
これらの具材にも意味があります。
それは
- えび:腰が曲がるまで長生きできますように
- れんこん:先が見通せるように
- 豆:健康でマメに働く
といった意味ですね。
おせちに入っているのと同じような意味ですが、それがひなちらしにも、というのはどの時代にも変わらない両親の願いを感じますね。
ひなちらしを食べる意味を子ども向けに説明するのなら?
菜の花や卵を乗せてとっても綺麗になってるよね。
お姫様も喜んでたのかもしれないね。
中に入っているものもね、〇〇(子どもの名前)が元気でこれからも大きくなりますように、って願いを込めたものばっかり使ってるんだよ。』
といった感じでしょうか。
少し年齢が大きくなれば(小学校に入学ぐらいからでしょうか)、具材の説明をしても良いですね。
れんこんはほら、こうしてみると向こうが見えるよね。
未来をしっかり見ながら努力していけるようにって意味かな。
まめは名前の通り「マメな人」になって欲しいな、って意味なんだよ。』
具材の説明をするとしないとでは、子どもの心に響くものも違ってくるかもしれません。
なんとなく食べていたれんこんやえびも「ああ、これはこうだったな」なんて思いながら食べるかもしれませんね。
ひなあられってなんで食べるの?
おひなさまと一緒に飾っていることも多い雛あられ。
色んな味が混ざっていて見ていても可愛く、食べてもおいしいものです。
子どもにも人気の高い行事食ですよね。
ひなあられの由来は諸説あります。
- ひなの国見せの時に持って行ったお菓子
- 京職人が作った季節のお菓子の1つ
- 菱餅を砕いたものが原型
- 江戸時代の涌蓮上人(ゆれんしょうにん)というお坊さんがお寺のお餅で作ったかき餅を村人に分けたことから
などなど。
中でも、興味深いのは「ひなの国見せ」かなあと思います。
「ひなの国見せ」とは、平安時代、貴族の娘たちはひな人形を使って遊ぶ「ひいな遊び」が流行っていました。
そんなひな人形を家の外に持ち出してピクニックをする。
それが「ひなの国見せ」です。
この時にお供として持って行ったお菓子が「ひなあられ」だというのです。
確かにひなあられは小さいので持ち出ししやすいですもんね。
他の説も全て「ひな=小さい」という意味ですのでどれが本当でもおかしくないですね。
ひなあられを食べる意味
ひなあられはひな人形と一緒においておくと言う人もいると思います。
なので、ひなあられはお供え物の1つでもあります。
そして忘れてはならないのはひなあられの色です。
色とりどりですよね。
この色も実は決まった物があるんです。
それは
- 白
- 緑
- 桃
- 黄
の4色です。
この4つには冬と春の間の桃の節句に食べるものとしてふさわしい色となっています。
- 桃・・・生命の息吹・春
- 緑・・・新芽・夏
- 黄・・・秋
- 白・・・雪・冬
という意味があります。
四季を表すことで、その時々の自然エネルギーを取り込み、一年を幸せに過ごすことを願ったようですね。
ひなあられは地方によって違う?
ひなあられは全国統一というわけではありません。
あなたがいつも食べているひなあられは違う地域に行けば、「何それ?」と言われることもあるのです。
関東地方ではお米を爆発させて作る「ポン菓子」や炒った豆に砂糖をかけて甘い味にしたもの。
関西地方では、あられを丸い形にして色付けをしたもの。
東海地方では、円柱型をしているひなあられもあります。
関西地方の甘くないあられは、エビやノリを使って色付けしているものもあるんですね。
しかし、最近ではどの地域にいっても両方のひなあられを売られていることも多くなっています。
ひなあられを食べる意味を子ども向けに説明するのなら?
お人形さんと遊びながらお腹がすいたら食べてんだろうね。
色んな色があるのは春とかを思いながら食べれるようにしてるのかもしれないね。
季節を4つ揃えるのと同じように、色も4つ揃えて1年健康でいられますようにってお願いしてるんだよ。』
といった感じでしょうか。
ちなみに、色の説明も
『どの色が春っぽい?』
なんてクイズを出しながら説明していくと面白いかもしれませんね。
白酒はどうして飲むの?
ひな祭りの時によく飲まれる白酒。
蒸したもち米をすりつぶして焼酎やみりん、麹を加えて1カ月ほど熟成させたものです。
アルコール分は9%とビールよりも酔いやすいお酒ですね(^^)
日本のひな祭りは色々な文化や風習があわさって今の形になっています。
白酒は「上巳(じょうし)の節句」の風習から来ていると言われています。
室町時代から上巳の節句では桃の花を蒸したお酒を飲んでいました。
そしてもう一つ、曲水の宴と言われるひな祭りの起源の1つとなった中でも、桃の花を盃に浮かべた「桃花酒(とうかしゅ)」を飲んでいました。
このお酒は、中国で桃と言えば不老不死の薬として「仙人の果実」とされていました。
この事から「桃花酒」は長寿を願った縁起物として振る舞われました。
この「桃花酒」が「白酒」に変わっていくのですが、それは江戸時代からだと言われています。
江戸時代には、庶民の間にも「ひな祭り」という風習が広まっていきます。
それと同時に、今まで売りだされていた桃花酒に変わって老舗酒店が「白酒」を売り出したんだそうです。
これが一挙にブームを起こし、ひな祭りに白酒を飲むということが定着していったんだそうです。
ちなみに、白酒と同じようにひな祭りに「甘酒」を飲むという人もいるかと思います。
甘酒はアルコール度数も1%程度。
最近ではアルコールの含まれていない甘酒もあるので、子どもと一緒にという人は甘酒を用意している人もいますね。
白酒を飲む意味
白酒は、昔、大蛇をお腹に宿してしまった女性が3月3日に白酒を飲んで胎内の大蛇を流したとい伝承があります。
この事から、厄除けや厄祓いをするという意味で、女の子に白酒を飲ませるようになったと言われています。
ここでもやはり、厄除けなどの祈願という意味が込められているんですね。
白酒を飲む意味を子ども向けに説明するなら?
昔、お腹に大きな蛇を宿してしまった女の人がいてね、蛇が生まれてきたら大変だから!って飲んだのが白酒なんだって。
白酒には悪いことをするものを追っ払ってくれる力があるんだって。
白酒を飲んだからお腹から蛇もいなくなったんだって。
だからね、ひな祭りには白酒を飲んで、お腹の中にいるかもしれない悪いものを追い払って貰うんだよ。』
というところでしょうか。
菱餅を食べるのはなんで?
ひな祭りと言えば思い浮かぶのは「菱餅」かもしれません。
鮮やかで3色でできている菱餅はひな祭りの色を表しているといっても過言ではないでしょう。
この菱餅の由来は「上巳節」という季節の節目に食べる菱の実で作った餅に母子草を混ぜて食べる習慣からきています。
菱の実には
- 子孫繁栄
- 長寿
の力があるとされていて、母子草には『母と子が健やかでありますように』という願いが込められたものです。
春の七草の1つ、御形(ごぎょう)としても知られていますね。
この食べ物も日本に伝わったのですが、『母と子を一緒に入れてお餅で付くのはなんとなく縁起が悪いように感じる』としてすんなり受け入れらなかったんですね。
そこで、母子草ではなく「よもぎ」を入れて作り始めたのが最初だと言われています。
しかし、この時はまだ今のような形にはなっていませんでした。
平安時代に菱餅にあたるものとして振る舞われていたのは新年行事で振る舞われていた「菱はなびら餅」だと言われています。
これはごぼうと白味噌餡とピンク色の餅を求肥で包んだ和菓子です。
綺麗な花びらのような形をしていますね。
この新年の行事は「長寿」を祈った儀式で、今の菱餅に繋がっているとされています。
菱餅が菱型になったのは江戸時代?
平安時代に日本には「ひな祭り」という文化がありましたが、庶民まで広まるのには時間がかかりました。
しかし、一気に花開いたのが江戸時代であるように、今のひな祭りの形に近づいて行ったのも江戸時代だということです。
菱餅が「ひしがた」になったのも江戸時代で、諸説あります。
- 室町時代の将軍家では正月に紅白のひし形の餅を食べる習慣があったため
- ひし形は心臓や大地をかたどったもの
- 元々は三角だったが、子孫繁栄の願いを重ねてひし形にしていった
- 菱の実を食べて千年長生きした仙人にちなんで長寿の願いを込めてひし形にした
- 礼儀作法の流派として名高い小笠原氏の家紋が「三蓋菱(さんがいびし)」をかたどった
- ひし型の角は魔除け効果があるため
本当にたくさんありますね。
でもこのどれもが自分の子どもの健やかな成長を願った意味だということです。
中国から伝わってきた菱の餅を日本独自に縁起の良いものに昇華させていったというのが菱餅なんでしょうね。
菱餅を食べる意味
菱餅はあの形も珍しいですが、同時に色も鮮やかな食べ物でもあります。
この3色にはそれぞれ意味や願いが込められています。
しかし、菱餅がひし形になっていった江戸時代。
この時は菱餅は2色だったと言われています。
江戸時代には緑と白の2色だったんだそうです。
先ほども説明したように、中国から伝わってきた菱餅は母子草を混ぜて色をつけていました。
しかしこれを嫌った日本の人たちはヨモギを混ぜて緑色にしていたと言います。
この2色のお餅を3~5段組み合わせた物がこの頃の菱餅です。
今でも、7段の菱餅や5段の菱餅を用意する地域もありますね。
2色から3色になったのは明治時代です。
クチナシの実を混ぜて作られた赤が加わって3色になりました。
それぞれの意味は
- 緑・・・長寿
- 白・・・子孫繁栄
- 赤・・・魔よけ
となっています。
これは色をつけている材料にも由来する物があります。
赤の色をつけている「クチナシ」には解毒作用があるとされています。
今より子どもの生存率が低かったころは子どもには悪霊が付きやすいとされていたためです。
白には菱の実が入れていて、血圧低下の効果があるとされています。
緑のヨモギには造血効果があるとされていて健康や長寿を表しています。
他にも色の意味は言われていて
- 赤・・・桃
- 白・・・雪
- 緑・・・大地
と言われています。
これは冬が終わり春の訪れを表しているという人もいます。
このため、菱餅の色の順番は下から緑→白→赤となっているんですね。
菱餅を食べるにはどうしたら良いの?
最近では菱餅ではなく、三色ゼリーや寒天のようなものを食べる人も多くなってきていると思います。
しかし、菱餅も当然あります。
そんな菱餅の食べ方ですが、決まっているわけではありません。
ですが、一応のマナーがありますので、ご紹介しまうすね。
1.お供えをする
菱餅は行事食ですので、まずは神さまにお供えをします。
ひな人形を飾るのは桃の節句当日、という人は少ないと思いますのでひな人形を飾ったと同じタイミングでお供えしましょう。
真空パックになっていることが多いと思うので、下に懐紙を敷いて粗末にならないように菱餅を供えます。
2.切る
ひな祭り当日に、お供えをしていた菱餅を下げます。
ここでは、封を開けて菱餅を切ります。
元々3色のお餅を重ねてひし形に切っているので、包丁を色に沿って横向きに入れれば簡単に切ることができます。
ひし形も崩れていないので失礼にも当たりません。
3.焼いて食べる
色ごとに分けたらトースターやオーブンなどで焼きます。
実は「ひし形の角は魔物を遠ざける」とも言われていますので、角から食べると健康になるという言い伝えもあります。
菱餅はそこまで大きくないので食べきることもできると思いますよ(^^)
菱餅を食べる意味を子どもに説明するには?
これもそれぞれに意味があってね、ひし形は悪い魔物が嫌いな形なんだって。
赤い色には魔物をやっつけてくれる意味があるし、白にはこれからも元気でいてねって意味があるんだって。
緑はおばあちゃんになるまで長生きしてね、って意味だよ。』
といったところでどうでしょう?
ひな祭りの食べ物は親の願いがたくさんこもっているものだった
日本の風習の多くは「健康」や「長寿」を祈るものになっています。
特に、子どもに関する風習はそういったカラーが強いように思いますね。
というのも、風習ができた昔はやはり医療の発達や治安の悪さがあったからですよね。
乳児の出生率も今ほど高くなく、生存率もやはり低かったんです。
なので、当時の人たちはどうにかして健康に、そして成長を・・・という願いからこういった風習には縁起の良いものを食べるようになったんだと思います。
さて、平和になった現代の日本。
自分の子どもの成長というのは本当に嬉しいものです。
健やかにそして幸せに・・・という願いを込めてひな祭りを行うのは今も昔も変わらないんですね(^^)
以上「ひな祭りの行事食!食べ物・お菓子の意味や由来を子ども向けで説明!なぜ菱餅はひし形?画像も添えて」をお送りしました。