2019年10月26日。
大学3大駅伝の一つである東京と神奈川県の箱根町を往復する駅伝大会「箱根駅伝」の第96回大会への出場を懸けた予選会が、東京の立川・昭和記念公園付近で行われました。
エントリーした40の大学生チームのうち、出場権を得られるのは上位10チーム。
総合6位に入り、26年振りに箱根駅伝への出場権を得たのは「筑波大学」でした。
今回は、筑波大学の箱根駅伝への道と、現在在籍しているメンバーのプロフィールを。
特に、過去に『関東学生選抜』チームでエントリーした相馬崇史選手について触れていきます。
筑波大学の箱根駅伝での戦績とプロフィール
まずは筑波大学の箱根駅伝での戦績を一気に紹介します。
- 箱根駅伝初出場:第1回大会(当時の校名は『東京高等師範学校』)
- 通算出場回数:60回
- 総合優勝回数:1回(第1回大会)
- 往路優勝回数:2回(第3回大会、5回大会)
- 復路優勝回数:2回(第1回大会、2回大会)
- シード権獲得回数:15回
筑波大学が箱根駅伝に初出場したのは、なんと第一回大会!
当時の校名は『東京高等師範学校』であり、茨城県ではなく、「東京市神田区(現在の東京都文京区)」と東京に学校が存在していました。
加えて、記念すべき第一回大会の優勝校でもある伝統校でした。
途中戦時中の中止期間を含めると100年もの歴史があります。
筑波大学復活に向けての「クラウドファンディング」作戦!?
は?クラウドファンディング?
なんでそんな話?
と思われるかもしれませんが、まあ待って下さい。
話は筑波大学が前に箱根駅伝に出場したのはいつか?という話から始めましょう。
最後の箱根駅伝出場が1994年元旦の第70回。
総合でも出場20チーム中最下位という結果でした。
そして、それ以降、出場はおろか予選会突破すら叶わないシーズンが続きます。
2011年からは卒業生OBが発起となって「箱根駅伝復活プロジェクト」が始まり、予選突破と本選出場を目指した戦いが始まりますが苦戦は変わらず。
というのも、実は…近年の箱根駅伝は「大学受験者人数稼ぎの広告塔」という要素が強くなっているんですよね。
なので、新興の私立学校が宣伝目当てで、アフリカから速さや強さのある留学生を招聘したりと部活動の強化を行っています。
しかし、国立の学校である筑波大学は、私立と比較して費用が掛けられない…。
そこで、乗り出した作戦が「クラウドファンディング」!
筑波大、箱根駅伝予選通過おめでとう👏国立大は支援金を集めるのが難しいと言われているけど、クラウドファンディングで募ったのだとか。近隣の大学なので、次回は少しでも支援したい!がんばれ〜!!!#箱根駅伝 #筑波大学https://t.co/MO5pzymH8n
— ちゃんゆか@ゆる運用ちう (@chanyuka_sw) October 28, 2019
- 応援Tシャツの制作
- 選手達からのメッセージ動画配信や活動報告
更に
- 選手達の練習を直に見学できる
などの特典を付けて、最大100万円まで寄付を募っていました。
結果、合計200人から総額で300万円の寄付。
いかに復活を望む人達がいるのかが判る結果となりました。
(ただ、100万円コースに寄付した方がいらっしゃらなかったとのこと。ちょっと残念!)
筑波大学陸上部の主力選手を紹介
1.金丸 逸樹(かなまる いつき)選手(体育専門学群・4年生)
- 長崎県出身、諫早高等学校卒業
- 身長 178.5㎝
- 自己ベスト記録 5000m走:14分44秒96/10000m:29分50秒21/ハーフマラソン:1時間7分20
第96回箱根駅伝予選会では「個人13位(1時間3分53秒)」という成績を残しています。
2.猿橋 拓己(さるはし たくみ)選手(理工学群社会工学類・3年生)
- 神奈川県出身、桐光学園高等学校卒業
- 身長 171㎝
- 自己ベスト記録 5000m走:14分40秒24/10000m:29分53秒99/ハーフマラソン:1時間5分39秒
第96回箱根駅伝予選会では「個人20位(1時間4分04秒)」という成績を残しています。
3.川瀬 宙夢(かわせ ひろむ)選手(医学群医学類・5年生)
- 愛知県出身、刈谷高等学校卒業
- 身長 175㎝
- 自己ベスト記録 10000m:29分54秒50/ハーフマラソン:1時間4分54秒
第96回箱根駅伝予選会では「個人53位(1時間5分01秒)」という成績を残しています。
彼ら3名の活躍により、総合順位を押し上げて結果6位での予選突破に繋がりました。
金丸選手、猿橋選手の健闘が目を張りますが、注目すべきは3人目の川瀬選手。
将来は医師を目指す医学部に通う5年生(医学群医学類は6年制の学生生活との事)です。
箱根駅伝出走も共に目指した結果が個人でも53位という結果に繋がったのではないでしょうか。
医師になる事を目標に頑張っているので競技は後2年で引退してしまうのが惜しまれます。
唯一の「箱根経験者」相馬崇史選手!本戦ではどの区間を走る?
前の項目では予選突破に貢献した主力3選手を紹介しましたが、ここでは唯一の「箱根駅伝経験者」である筑波大学のエース・相馬崇史選手について紹介します。
相馬崇史選手のプロフィール
- 長野県出身、佐久長聖高等学校卒業
- 身長 160㎝
- 自己ベスト記録 10000m:29分27秒77
長野県の全国高校駅伝出場常連校である「佐久長聖高等学校」を卒業。
前回95回大会では「関東学生連合選抜」チームでとして参加。
オープン参加という事で公認記録にはなりませんでしたが、5区箱根の山登り区間を区間順位13位相当で走ったという実力を備えています。
【ウェブ速報】#箱根駅伝 5区山登りを相馬崇史(体専2年)が力走中!
写真は大平台(神奈川県箱根町)で本紙取材班撮影 pic.twitter.com/negalDUDJU
— 筑波大学新聞 (@ut_shimbun) January 2, 2019
◯相馬崇史(筑波大3年)
復活を目指す筑波大のエース。前回の箱根駅伝では、学生連合として5区に挑戦。直前まで貧血に苦しんでいたものの、区間13位相当で走破した。この山上りへの適性と忍耐強さは何度でも箱根路で見たいもの。そのための最低条件として、まずは箱根予選通過に導きたい。#箱根駅伝 pic.twitter.com/CVoWfbK8Kq— 100倍楽しく箱根駅伝を見る方法 (@hakone_eki_den) October 13, 2019
また、第96回箱根駅伝予選会では「個人40位(1時間4分44秒)」という成績でした。
身長は160㎝と決して大柄とは言えませんが、写真からも判るように、力走を見せてくれています。
佐久長聖高等学校出身の相馬崇史(1年)は、駅伝部でキャプテンを務めていました。「自分も大学も高みへと導く」という強い意志を持っています。
相馬が筑波大学を選んだ想いを是非ともお読みください!https://t.co/uyoZPDDm4R— 筑波大学 箱根駅伝 復活プロジェクト (@tsuku_hako) July 30, 2017
インタビューでも「弱小軍団で最大勢力に戦いを挑みたい」という語っており、強い意思が感じられます。
今回26年振りの出場が決まった事でより期待が持てますね(^^)
筑波大学と言えば中山雅史さんの影響でサッカー部が強い印象がありましたが、陸上競技、特に駅伝でも歴史を残してきているんですよね。
5000m走や10000m走等の自己ベストでも他の大学に引けをとらない実力を備えた選手達が育ち、復活プロジェクトが立ち上がって8年でようやく予選突破・本選出場を果たしました。
近年の箱根駅伝は、青山学院大学や東洋大学、昨年は東海大学が総合優勝を果たすなど、その戦いは熾烈です。
予選突破校の活躍も目立つ大会が続いています。
青山学院大学は85回大会で33年振りの箱根駅伝出場を果たし、復活から5年で初優勝を掴み取りました。
監督を務める原晋さんは今やTV出演や著書等メディアでも取り上げられる活躍です。
筑波大学も26年振りの復活から一気に駆け上がっていくのか。
注目して見守りましょう!