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茅の輪くぐりとは?その意味や由来!くぐり方や唱え言葉など作法・手順についても!もし間違えたらどうする…?

夏祭りの貼り紙を見てみると、一緒に『茅の輪くぐり』という文字がとび込んできました。
そう言えば、夏の行事の1つとして認識していた『茅の輪くぐり』。

一体どんなもので、どんな意味があるのか知っていますか?

そこで今回は茅の輪くぐりの

  • 意味
  • 由来
  • くぐり方
  • 唱え言葉
  • 作法や手順

について詳しくご紹介します。

もし間違ってしまったらどうすればいいの?!という救済措置についても一緒にご紹介しますね。

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茅の輪くぐりは半年に1度行われる神事

茅の輪くぐりとは、半年に1度、行われる神事です。
神事とは、神様に関する祭りごとや儀式のことを指します。

茅(ちがや)という植物を使って大きな輪っかを束ねているものを茅の輪(ちのわ)といいます。
最近では、茅ではなく、芦を使って作っている神社も多いんだそうです。

茅という植物は沖縄から北海道まで広く分布している植物です。
かやぶき屋根の材料として昔から広く使われてきていた植物でもあるんですよね。

ちまきを包んでいるあの植物が「茅」なんですよ。
ですが、最近では茅の数が減っていることから、芦を使うようになったんだそうです。

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茅の輪くぐりにはどんな意味がある?

茅の輪くぐりは、半年間の穢れを祓い、無病息災を願うという意味があります。
6月に行われるのを夏の大祓(おおはらえ)。

12月に行われるのを年越の大祓と呼び、茅の輪くぐりを行っています。
12月に茅の輪を作っているところは少なく、最近では夏の行事として定着してきつつもありますね。

しかし元々は、半年間の穢れを祓うという意味ですので、1年に2回茅の輪くぐりは行われてきているのですね。

私たちが生活している中で、知らず知らずのうちについてしまった罪穢れを祓うということで

  • 無病息災
  • 厄難消除
  • 開運厄除

などのご利益があるとされています。

茅の輪くぐりの茅の輪は神社の境内や鳥居の下などに設置される事が多いのです。
何故かというと由来に大きく関係してくるのです。

茅の輪くぐりの由来とは

茅の輪くぐり 意味 由来 やり方 手順
茅の輪くぐりは日本神話にその由来があります。
備後国(現在の広島県東部地方)を旅していたスサノオノミコトは、その夜泊まる宿を探していました。

この時、蘇民将来(そみんしょうらい)という貧しい男性が手厚くもてなしてくれました。
彼には弟がいて、たいそう裕福でしたが、スサノオノミコトには宿を貸しませんでした。

その数年後、スサノオノミコトは再び、蘇民将来の元を訪れ、

『疫病が流行るだろうからこれを腰につけていなさい』

と、茅の輪を渡したんだそうです。

家族でつけていた蘇民将来は疫病に打ち勝ちましたが、それ以外の人たちは疫病に負けて亡くなってしまったそうです。

この話と同じものがもう一つあります。
そこでは牛頭天王という神様が登場します。

この神様はスサノオノミコトと同じ神様であるとされています。
牛頭天王はお嫁さん探しの旅に出ている時に、宿を探していました。

そこで蘇民将来と出会い、宿を貸してもらいます。
そのお礼にと蘇民将来に玉を授けるのです。

この玉の力で蘇民将来は裕福になることができました。

それを妬んだ弟の巨旦将来(こたんしょうらい)は、龍神の娘を嫁として貰い帰路についている牛頭天王が再び村を訪れると
「今度は私の家にお泊まり下さい。」
と牛頭天王を迎え入れます。

しかし、ここで、巨旦将来は無礼を働き、牛頭天王に殺されてしまうのです。

牛頭天王は村を去る時に、蘇民将来に
「茅の輪を作って”蘇民将来の孫”と書いたお札を玄関に貼りなさい」
と言って帰って行くのです。

この2つの物語から、茅の輪にも、『蘇民将来』と書かれたお札にも厄除けのご利益があるとされてきたのです。

茅の輪は江戸時代ごろまで腰につけられるぐらいの大きさのものでしたが、江戸時代初期から茅の輪が大きくなり、その中を潜り抜けるスタイルになったんだそうです。
神社の境内などの「結界」内に設置された茅の輪をくぐる。

神社の結界内に作られた茅の輪には穢れがついていないとされています。
なので、神聖な茅の輪をくぐることで自身についている穢れを祓うことができるとされています。

茅の輪くぐりは何故大きくなったのか?

どうして、江戸時代になると茅の輪が大きくなり、潜り抜けるスタイルになったのか。
それは迎える神様が大きく関係しているのではないでしょうか。

茅の輪を蘇民将来に授けたスサノオノミコトですが、この時の旅の目的は龍神の娘を嫁にもらうこと、でした。
更に、スサノオノミコトは父神であるイザナギから海を統治するようにと言われていました。

しかし、気性の荒いスサノオノミコトはこれを拒否し、追放されてしまいます。
その後、出雲の国に行ってヤマタノオロチを退治し、三種の神器を手に入れ出雲の地の神となります。

イザナギから海を統治しなさいと言われたことから、スサノオノミコトは元々、水神様であると分かります。
しかも蘇民将来に渡した茅の輪、これは疫病を退けるために渡したものです。

輪っかという形状にしたのは自分のカタシロだとされています。
輪っかは水神(龍神)であるスサノオノミコトがとぐろを巻いている状態を表しています。

この事からもスサノオノミコトは水神であるんですね。
そしれ日本では旧暦の7月15日に水神様が来訪するとされているのです。

旧暦の7月15日と言えば、新暦ではお盆に当たります。
お盆は先祖の霊が家に戻ってくる日。

ここに、神道の水神信仰が混ざって「7月15日に水神様が来訪される」という信仰に繋がっていったんだそうです。
考えてみれば、お盆に墓参りを行うのは仏教の行事で、夏祭りや花火大会は神道が起源の行事。

ミックスされ信仰として広がって行ったのも納得ですね。
ということで、この事から茅の輪くぐりは水神様を迎えるための行事として夏越の大祓に行われるようになったんです。

茅の輪くぐりとは茅の輪を8の字を描くようにくぐります。
この「8」という数字も水神様の形を模したものなんだとか。

では年越の大祓(12月)では何をお迎えしているのでしょうか。
それは「年神様」です。

こういった成り立ちもあって茅の輪くぐりは夏越の大祓だけに行う神社が増えていったのかもしれませんね。

茅の輪くぐりが広がったのは何故?

茅の輪くぐりが今のように全国の多くの神社で行われるようになったのは何故でしょうか?
元々、年越の大祓と夏越の大祓という神事は宮中で行われていた儀式でした。

ここに厄除けの神様である牛頭天王を祀っている神社や、スサノオノミコトを祀っている神社でも大祓が行われるようになっていきました。
そしてそれは他の神社でも行われるようになったんだそうです。

茅の輪くぐりという神事は、牛頭天王やスサノオノミコトを祀っている神社でのみ行われていましたが、最近では全国に広がっています。
そして年越の大祓と夏越の大祓は単独の神事でしたが、次第にセットとなっていったんだそうです。

大祓は厄除けの神事というものでしたから、そこに茅の輪くぐりという神事が加わったという感じですね。

茅の輪は何故「茅」でできている?

茅の輪の材料はそこまで珍しい植物ではありません。
疫病を防ぐためにスサノオノミコトが遣わしたとされていますが、何故「茅」だったんでしょうか。

厄除けの神事のメインとして使うものですから、どこにでも生えている(当時は)雑草のようなものでよいのでしょうか。
これは『茅』というものの由来に深く関係してきます。

古来中国では『茅』は魔除けとして、または神前に供える供物として使われていました。
これは『茅』という漢字が「草の矛」という意味を持つからだとされています。

『茅』の葉っぱの形も

このように鋭い形をしていますよね。
この形も神威の表れだとされていました。

一方、古来日本でも矛などの刀剣は魔を祓うアイテムだとされてきました。
『茅』も刀剣のような形をしていることから、神聖な力をもっていると考えられていたようです。

この事から「茅の輪」は「茅」で作られるようになったんですね。

茅の輪くぐりはいつ行われる?

茅の輪くぐりは夏越の大祓と一部神社では年越の大祓で行われます。

開催される時期は

  • 夏越の大祓・・・6月30日
  • 年越の大祓・・・12月31日

となっています。

これより少し前から茅の輪が設置されていて、くぐることができるようになっているところもあるようですよ。

茅の輪くぐりの作法は?

厄除けや疫病を退けるために行われる『茅の輪くぐり』。
神事ですので作法があります。

それは茅の輪を唱え歌を歌いながら8の字に3度潜り抜けるというもの。
一番オーソドックスなくぐり方をまずはご紹介しますね。

茅の輪くぐりの手順

1.正面でお辞儀をする
2.左足で茅の輪をまたぎ、左回りで正面に戻る
3.正面でお辞儀をする
4.右足で茅の輪をまたぎ右回りで正面に戻る
5.正面でお辞儀
6.左足で茅の輪をまたぎ、本殿を参拝する

なぜ左からなのか?というと、これはスサノオノミコトの父神と母神の神話によるものとされています。
イザナギノミコトとイザナミノミコトは出会う時、右回りで出会うと子どもに恵まれなかったとされています。

しかし助言を貰い柱を左回りで出会うと子どもたちが生まれたんだそうです。
この事から左回りにまずはくぐるのが正解だそうです。

更に、茅の輪をくぐるのはスサノオノミコトがヤマタノオロチを退治したことを表しているともされています。
どちらも真偽はわかりませんが、色々知ることができると面白いですね。

茅の輪くぐりは唱え歌が必要

茅野輪くぐりは唱え歌を唱えながら3周します。

その言葉は

『祓え給え 清め給え 守り給え 幸え給え(さきわえたまえ)』

というものです。

しかしこれは神社によって唱え言葉が違うんだそうです。

他には

『水無月の 名越の祓するひとは 千年の命のぶとおいふなり』

という和歌を唱えながらくぐるところや

1周目『水無月の名越の祓するひとは千年の命のぶとおいふなり』
2周目『思ふ事みなつきねとて麻の葉をきりにいりても祓いつるかな』
3周目『宮川の清き流れに禊せば祈れること叶はぬはなし』

と唱えるところもあるんだそうです。

それぞれの和歌の意味は
『水無月(6月)の名越の祓いを受ける人は延命効果があると言われている』
『水無月(6月)の晦日に私の悩みがなくなってしまえと麻の葉を細かく切ってお祓いします』
『御神域に流れる清い川で穢れを落とせば祈り願う心は天に通じるということである』
ということだそうです。

他にも
『蘇民将来』
と唱えながらくぐるところもあるんだとか。

本当に様々ですね。

神社に行けば唱え歌を書いているところもあるでしょう。
書いていなければ尋ねてからくぐるようにしたいですね。

茅の輪くぐりの茅にはご利益がある?

色んな人の穢れを祓ってくれる茅の輪。
茅という魔よけの効果が期待できる植物でできています。

なのでこの茅を少し分けて貰ってて帰ればご利益が家にもやってくるかもしれない。
そう考えるのも不思議ではありません。

しかしこれは絶対にやってはいけないことです。
茅の輪というのは色んな人の厄災を吸収しているのです。

つまり、穢れを祓いに行ったのに、違う人の穢れを家に持って帰ることになるかもしれないのです。
ご利益があるとは言えませんから、きちんと参拝して帰りましょう。

茅の輪くぐりとあわせて

茅の輪くぐりは夏越の大祓とあわせて行われています。
なのでこの日に、厄除けをして帰るのも可能です。

例えば、人形代(ひとかたしろ)などに自分の

  • 名前
  • 生年月日
  • 年齢

を書いて身体の罪や穢れをふき取るようになで、息を三回吹きかけます。

そして海や川に流し清めてもらうという方法もあります。

カタシロの記入方法はこちらから。

茅の輪くぐりのお守りはどうしたら良いの?

茅の輪くぐりに行くと、身につけれるサイズの茅の輪をお守りとして持ち帰ることができるところもあります。
『蘇民将来』というお札があるところもありますよ。

これらのものは魔除けとしての効果がありますので、玄関先に飾るのが一番良いでしょう。
顔より高い位置に飾るのが良いですね。

神棚に祀ってももちろん構いません。
しかし、粗末にならないように、きちんと適当な場所を選ぶようにしましょう。

飾る期間は様々で

  • 秋のお彼岸
  • 次の大祓まで

それぞれ神社に尋ねるのが一番良いと思います。

茅の輪くぐりの作法を間違えてしまったら

茅の輪くぐりの作法はおそらく茅の輪の前に立て看板などをしてくれているところが多いと思います。
しかしそれでも間違えてしまった。

唱え歌を違うものを唱えてしまった。
なんてこともありますよね。

この時はどうしたら良いのかというと至極簡単でシンプルです。

対処法は、
もう一度最初からやり直す

これです。
茅の輪くぐりは1回だけ!と決められているわけではありません。

自分についている罪や穢れを祓うために行うものです。
間違っていなくても、十分祓えていないなと感じればもう一度茅の輪くぐりをすれば良いのです。

1番いけないんじゃないかなあと思うのは間違えたままにして帰ることだと思いますよ。

茅の輪くぐりを行って心身ともに静かになってはいかがでしょう?

神社などを参拝する機会って日常にはそこまで溢れていないですよね。
何かの神事などがないと行かない人も多いでしょう。

今回は茅の輪くぐりという神事についてご紹介しました。
厄災を祓ってくれるというこの神事。

一度、行ってみて厳かな気持ちになってみてはいかがでしょうか?

以上「茅の輪くぐりとは?その意味や由来!くぐり方や唱え言葉など作法・手順についても!もし間違えたらどうする…?」をお送りしました。



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