伊坂幸太郎さんの1年ぶりの新刊は、SFチックで切なかった・・・。
これが私の感想です。
伊坂幸太郎さんの新刊「フーガはユーガ」はもう読まれましたか?
まだだよという方、早めに読むことをお勧めします!
もう伊坂幸太郎さんの物語が好きすぎるので、ここでネタバレしちゃいますし、勝手にドラマ化するならこのキャスト!と妄想します。
是非、あなたも一緒にあなただけの「フーガはユーガ」を楽しんでみませんか?
「フーガはユーガ」ってセンスの塊かよ
まずは伊坂幸太郎さんに限った事ではありませんが、作家さんって言葉選びが抜群ですよね。
そりゃもちろん文字をお仕事にされているんですから当然です。
そんな中でも「フーガはユーガ」ってこのタイトル!
読み終わった時に『ああ、なんという・・・。』と思うこと間違いなしなんです!!
興味がわいてこられたあなた!
是非、「フーガはユーガ」を読んでからもう一度私の記事を読みにきてください!
「フーガはユーガ」のあらすじをちょこっとネタバレ
まずは、あらすじを少しだけネタバレします。
全部しないのは、是非自分で読んでこの読後感を味わってほしいからです。
主人公は「風我」と「優我」という双子の兄弟です。
気付いたころから2人でいた兄弟は、ファミレスで弟・風我について1人のテレビマンに語り始めます。
時間軸はファミレスでの会話がベース。
でもそこから自分たちの生い立ちを語り出すのです。
というのも、そのファミレスにいる男は優我が映っている映像を持っているからです。
トイレの個室にいる彼は一瞬、ぶれたかと思うと今まで貼っていなかった場所にばんそうこうを貼って登場するのです。
そう、双子の兄弟はあるきっかけから瞬間移動が行えるようになるのです。
それは自分たちで管理できるものではなく、決まった日時の決まった時間にだけ行われる瞬間移動。
この瞬間移動についてテレビで取材してくれ、と持ちかけているのです。
そもそも、瞬間移動ができたきっかけは父親からの虐待を受けている風我を助けたいという思いからでした。
どうにかして!と思った瞬間、指先がチリチリとして瞬間移動したのです。
絶望的な少年時代を過ごしていた双子の兄弟にある日突然授かったパワー。
そのパワーを持って2人は人生を歩み始めるのです。
そして、最後にはいつものように伊坂幸太郎さんの伏線を一挙に回収し、何とも言えない読後感を生み出すのです。
「フーガはユーガ」の感想をここで吐き出してみた
では、読んで間もない私の感想をかきます。
当然ですが『ネタバレ』してますので、危険だ!と感じた方は下の方まで読み飛ばして下さい!
まず、読み始めてからですが、何でこの本を手に取ったかというと、
- 伊坂幸太郎さんのファンだった
- 帯に1年ぶりの新刊をかいていた
- ちょっと不思議でちょっと切ないという文言にひかれた
というのが理由です。
主人公の双子は誕生日の日だけ、2時間おきに入れ変わりが起こります。
この事に気付く事から始まり、訓練し自分たちの正義に照らし合わせてその時に困っている人を助けていく物語です。
痛快な物語が続いていくのか、と言えば決してそうではありません。
内容は、双子が受ける父親からの虐待、母親からのネグレクトから始まります。
殴る蹴るは当たり前の家庭環境の中で育っていた双子の気持ちを思うと怒りしか感じませんでした。
そんな双子は劣悪な家庭環境から抜け出すために少しずつ努力します。
年齢も重ねてくれば自立もしやすくなりますよね。
まず最初に出会うのは、同級生でいじめの対象になっていた貧乏なお家の子ども。
次に助けたのは風我の彼女。
彼女は養父から信じがたい虐待を受けています。
そして次は優我と関わりをもった親子。
何ともないような話がいくつも並んでいますが、これら全ての物語は最後の一点に向かって続いていくのです。
意味が分かってきたらそこから物語はとにかくスピードアップ!
「え?!え?!」といううちに展開が続いていき、なんだか早すぎて何度も読み返してしまいました。
最後は見事に1つ残らず伏線を回収し、しかも怒りが「感動」に代わります。
感動・・・なんて言葉では足らないかもしれません。
優我のセリフで
「俺の弟は、俺よりも結構、元気だよ」
という言葉にこの物語の全てが込められていると思います。
最初、タイトルを見た時に「フーガはユーガ」なので、なんだか優雅な話なのかな?と思いました(^^;
でも「フーガはユーガ」の意味はこの優我のセリフに全て集約されているんです。
双子の2人はいつも2人で1つ。
フーガがユーガでユーガがフーガなんですよ!
実際に入れ変わりもできるしね!
なので、読んでしまってからこのタイトルを見て「センスの塊かよ!」と絶叫したのであります。
「フーガはユーガ」をドラマ化するなら誰がやる?!
ではでは、もうここからは妄想タイムです。
「フーガはユーガ」をもしドラマにするのなら、一体誰に何の役をやってもらうのか!
私の独断と偏見と好みだけで選んでみましょう!
主人公:常盤風我と常盤優我
主人公が一卵性の双子・・・っていうのがまた難解ですよね。
でも、どうにかすれば技術力で行けるんじゃないか!ということで、ここは1人で2役やってもらいたいと思います。
そう、窪田正孝くんに!!
彼の演技力をもってすれば風我の奔放さも、優我の落ち着きも見事にやりきれるのではないでしょうか?!
しかも、筋肉抜群!
スポーツ万能な風我も見事演じきることができるでしょう!
双子の父親
双子の父親で子どもを自分の所有物だと何の恥じらいもなく宣言できてしまうような最悪な人物です。
いつも苛ついていて、子どもを殴る蹴るは当たり前の毎日を過ごしています。
この父親との決着はいつかつけなくてはならないと双子も感じている人物です。
そんな父親には、遠藤憲一さんでどうでしょうか?
こわそ・・・・。
双子の母親
双子の母親で父親の虐待から子どもたちを守ることもなくため息をつく女性です。
双子が成長するにつれ、家には寄り付かなくなり、最後は子どもをおいて1人だけ逃げ出してしまいます。
そんな母親を、木村ミドリ子さんにどうでしょう?
うん、遠藤憲一さんと木村ミドリ子さんの子どもが窪田正孝くん(しかも双子)。
何と言う化学反応でしょうかね。
いじめられていた同級生:ワタボコリくん
本当の名前はワタボコリではないんですが、いじめられっこでワタボコリを食べたからワタボコリクンというあだ名になったという逸話を持つキャラクターです。
彼は物語の中でも重要なポジションを担っていて、小学校時代の同級生ですが、大人になってからも再会するというキャラクターです。
そんなワタボコリくんは、誰にお願いしようかな(笑)
森山未来くんとか良いかもしれません。
インテリっぽい感じがワタボコリくんにぴったりです。
いじめていた同級生:広尾
被害者がいるということは当然加害者もいるわけで。
双子が通う小学校のカーストのてっぺんにいるのが「リンス使ってる広尾」です。
お金持ちで容姿も良く、女子からの人気も高い広尾。
でもワタボコリくんが必死に貯めたお金で買ったパソコンをノリで壊しちゃうようなダメなやつです。
彼は小学校でしか出てきませんので誰が良いですかね。
若山耀人(わかやまきらと)くんとか良いかもしれませんね。
演技上手だし。
バイト(?)先の雇用主:岩窟おばさん
年齢が上がってくると、今度は親の元からどうやって自由になるかということを考え始めます。
中でも、目をつけたのがリサイクル業者としてのバイト(?)でした。
もちろん労働基準法には抵触しているんですが中学校ぐらいから働き始めます。
肉体労働で、不要なものを引き取ってリサイクル料を頂く、というやつです。
ここの雇用主が岩窟おばさんなんです。
顔が岩のようにゴツゴツしていることから名づけられました。
しかし人情に厚く、双子のことを親身になって考えてくれています。
そんなに態度には出しませんが。
そんな岩窟おばさんは、佐々木すみ江さんですね!
これはもう絶対です。
役柄にもぴったりですし、何より存在感が半端ないです。
風我の恋人:小玉
成長していけば恋愛模様も異なってくるもので、風我は彼女を見つけます。
それが小玉という女の子。
あまり自分のことを詳しく話さず、でもいつもそばにいて癒してくれるような人物。
そんな彼女に風我が惹かれたのもすごく共感できるような気がしました。
でも、彼女にはとてもかわいそうな生い立ちがあり、本当の両親が事故死したあと、親戚の家に預けられることになったのです。
そこで養父は異常な性的趣味を持っており、それを小玉にさせているのでした。
ここでもやはり親から子どもへの虐待の描写が書かれています。
本当に気分が悪くなるような話ですが、それでも読み進められたのはヒーロー(双子)がいたからでしょう。
もちろん、小玉も双子が助けます。
そんなけなげでちょっと恵まれない小玉は門脇麦ちゃんでお願いします!
彼女の体当たりの演技なら、あのシーンもあのシーンもいけるはず!
ということで(^^)
小玉のお父さん
小玉のことをまるでもののように扱う最低の養父です。
高級住宅街に住み、会員制のクラブを開催するなど選民志向の強い人物。
自分の性的趣味を満足させるために自分の家に巨大プールを地下室に作るというちょっと破天荒な人です。
この人はデビット伊藤さんにお願いしましょう。
なんか、イメージ的にそんな感じがしたんです(^^;
優我が密かに思いを寄せる(?)親子
優我にだって恋心はあります。
風我みたいに早くないだけで、きちんとそういったエピソードは有るんですよ。
大学に進学し、コンビニでバイトを始めた優我はお客さんとして来店している親子と知り合います。
カードゲームがきっかけですが、小学生と本気でカードゲームを楽しめるまで勉強しました。
そこで、コンビニに一緒にカードを毎回買いに来ているのが、お姉さんだと思っていたのに本当は小学生のお母さんだった女性。
風我に「好きなんだろ?」と聞かれて否定しますが、どうやら気になっている様子です。
そんな親子を『黒木華』さんと『寺田心』くんでどうでしょうか?!
この親子、のちにちょっとかわいそうな運命を辿るんですがそういったことも考慮してこの2人で是非。
ファミレスに来たテレビマン:高杉
そして優我が最初から最後まで双子の全てを語っている相手がテレビマンの高杉です。
彼は・・・そうだな、ちょっと懐疑的で、双子が入れ変わっている盗撮映像を見て編集されたものじゃないと分かっていても疑っています。
自分の手柄を自慢したいような自己顕示欲の強い男性にも見えます。
そんな高杉は西嶋秀俊さんに是非お願いしたいですね。
「フーガはユーガ」は仕掛けがたくさん
実は伊坂幸太郎さんは
『自分の作品は全て同じ世界の上に存在している』
と言っています。
なので、出てくる登場人物ももしかしたらどこかで誰かと関わっているかもしれないんです。
それが今回の「フーガはユーガ」では分かる場面があります。
それは優我が小学生の子どもとカードゲームをする時に、同級生の子どもが
『ユーガってなんだかこの前伊藤さんが言ってた案山子の名前に似てるね。』
っていうセリフがあるんです。
もう伊坂幸太郎ワールドの虜の人には分かると思いますが、デビュー作である「オーデュボンの祈り」に出てくる優午のことです。
ここで思い出して、もう一度あの作品を読みたいな!と思いました。
そんな不思議な魅力が伊坂幸太郎ワールドにはばらまかれています。
もしかするとこれからもこの不思議で頼もしい双子のヒーローは違う物語で出てくるのかもしれません。
なんせ入れ変わりを確信してからは暇つぶしで人助けをしていたぐらいですからね。
以上「伊坂幸太郎「フーガはユーガ」のあらすじのネタバレと感想!ドラマ化するならキャストは?と妄想してみたw」をお送りしました。